59試合で肩を作ったのは「120回くらい」 泉圭輔が知ってほしい“中継ぎの苦労”

契約更改を行ったソフトバンク・泉圭輔【写真:代表撮影】
契約更改を行ったソフトバンク・泉圭輔【写真:代表撮影】

肩を作るのは「基本的には毎日。1日1回の日もあれば、5、6回作る日も」

 7日に本拠地PayPayドーム内で契約更改交渉を行い、今季から現状維持となる年俸2700万円(金額は推定)で来季の契約にサインしたソフトバンクの泉圭輔投手。交渉の席上で球団に訴えたポイントの1つが、数字には表れない中継ぎ投手ならではの“苦労”だった。

 今季は怪我のために出遅れ、初めて1軍に昇格したのはオールスターブレーク直前の7月21日の楽天戦。すでに84試合を消化し、シーズンも残り59試合のタイミングだった。泉は最終的に今季30試合に登板。1軍昇格後はほぼ2試合に1度のペースでマウンドに上がっていたことになる。

 先発投手と違い、中継ぎ投手にとって大変なのは毎試合、準備をしなければならず、2日や3日の連投もこなさなければいけない。ただ、それと同様に大きな負担になるのが、いつ訪れるか分からない出番に備えて、ブルペンでキャッチボールや投球練習を行って肩を作らなければならないところにある。

 守護神をはじめとする勝ちパターンの投手であれば、リードや接戦の試合展開に登板は限られる。最も難しいのは、今季の泉のような勝ちゲームでも、ビハインドの展開でも登板機会が回ってくるリリーバー。展開に関わらず、常にブルペンで準備しなければならず、その大変さはなかなか表には出てこない。

 泉はこう語る。「後半戦だけで120回くらい(肩を)作っていた。(チーム内で)ダントツの1位でした。基本的には毎日作っていましたし、1日1回の日もあれば、5回、6回と作る日もありました」。泉が1軍に昇格した時点で残り試合は59試合。そこから30試合に登板したのもハイペースだが、それ以上にブルペンで肩を作る回数の多さは凄まじかった。

 球団のフロントとは、その数字に見えざるポイントについて、膝を突き合わせて話をした。「個人としては評価してほしいポイント。査定がどういう内容か聞かせてもらって納得しましたし、丁寧に説明していただいたのでありがたかったです」と判を押した。

 泉が訴えたかったのは「みんなが見ている試合の裏で、準備している選手がいないと試合はできない。やりがいは感じているので、そういうポジションも大事」ということ。当然、このままで満足するはずもない。「来年は勝ちパターンで固定されるのが一番理想。とにかくどんな場面でも同じパフォーマンスを維持できるように頑張りたいなと思います」。来季は勝ちパターンの一角として、胸を張って交渉の席についてほしいものだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)