「僕が抑えていれば…」甲斐野央が悔やむ“10・2の記憶” 復活へ取り戻す「自信」

ロッテとの最終戦で打ち込まれたソフトバンク・甲斐野央【写真:荒川祐史】
ロッテとの最終戦で打ち込まれたソフトバンク・甲斐野央【写真:荒川祐史】

「正直、僕やなと思っています、あの試合決めちゃったのは」

 2日に本拠地PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、現状維持の年俸3600万円で契約を更改したソフトバンクの甲斐野央投手。交渉後の会見、その後の囲み取材では今季最終戦となった10月2日のロッテ戦の苦い思い出を思い起こし、V逸の責任を背負いこんだ。(金額は推定)

 4年目の今季は27試合に登板。開幕1軍を逃し、1軍昇格は6月の半ばになってからだった。制球に苦しむ場面も多く「特に今年は個人的にすごく悔しいシーズンだった」と振り返る。その1年でも、特に深く脳裏に焼き付いているのが、目前で優勝を逃すことになった今季最終戦のロッテ戦だった。

「正直、僕やなと思っています、あの試合決めちゃったのは」

 マジック1で迎え、勝つか引き分けでリーグ優勝が決まる10月2日のロッテ戦。2点リードの6回に泉圭輔投手が山口に3ランを浴びて逆転されると、1点ビハインドの7回に甲斐野がマウンドへ上がった。だが、先頭の松川に四球を与えると、犠打を挟んで、藤原にも四球。中村奨に適時二塁打を浴びてリードを広げられると、代わった嘉弥真新也投手も安田に適時二塁打を浴びて点差は3点に広がってしまった。

 8回に柳田悠岐外野手の適時二塁打で1点を返しただけに、この7回の2失点が重くのしかかる結果になった。甲斐野は「僕がなんとかゼロで抑えてベンチに帰っていれば、次の回、その次の回、最終回と本当にチャンスがあったと思います。先頭に四球を出してしまい、そこからズルズルといってしまい、優勝できなかった。最後だけじゃないですけど、僕はそこが頭に残っていて、本当に悔しいシーズンでした」と責任を痛感していた。

 シーズン中に感じていた不安が最悪の形になって出てしまった。「打たれたらどうしよう、四球を出したらどうしよう、負けちゃったらどうしようとか、マイナスな面を持ったままマウンドに上がったこともあった。自信を持って投げられている自分は少なかった。それじゃ話にならない」。思うようなボールが投げられず、打たれることを恐れて弱気になって、さらに制球を乱していく悪循環。来季に向けての課題は明確になった。

 オフは徹底して練習量にこだわっていく。秋のキャンプでも、全体練習終了後、1人ブルペンにこもってネットスローでフォーム修正を図った。12月、1月も量をこなすつもりで「あそこで実力を発揮できなかったのは自分の弱さ。これだけボールを投げていたら、という自信もありますし、ある程度、練習量をしていたら体も覚えてくるところがあると思う。まずは量を増やそうかなと」という。

 これまでは森唯斗投手と1月の自主トレを行なってきたが、自ら敬愛する先輩に断りを入れた。「今年は自分のやりたいことが明確にありますし、量も増やしたい。自分の時間を最大限、使おうかな、と」。東洋大時代の同級生のDeNA上茶谷大河投手、楽天の藤井聖投手ら気心の知れた仲間と気兼ねなく練習に励む考えだ。

「しっかり練習して、自信を持ってマウンドに上がって、自信を持ってボールを投げられるように練習していきたい。結果を残して、シーズンが終わったときに本当に心の底から笑えるようになりたいと思っています」と来季を見据える甲斐野。ルーキーイヤーの2019年から遠ざかる勝ちパターンの座へ。剛腕復活がホークスのリーグ優勝奪還へのピースになる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)