勝負の8年目へ「自分を変える」 高橋純平の考えを変えた同い年の育成左腕の姿

ソフトバンク・高橋純平(左)と大関友久【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・高橋純平(左)と大関友久【写真:藤浦一都】

甘かった過去の自分「野球は楽しくなきゃダメ、楽しければいい、みたいなところがあった」

 24日に契約更改交渉を行ったソフトバンクの高橋純平投手。2015年のドラフト1位右腕は、プロ7年目となった今季、1軍登板なしに終わった。25%の減額制限に迫る600万円減の年俸2100万円(金額は推定)で来季の契約にサインし、来季に向けて「自分を変えていくつもりで来年挑まないといけない」と覚悟を示した。

 今季は春のキャンプで右内転筋を痛めた。痛みを伴ったまま投げ続けたが、結果は出ず、開幕後にリハビリ組へ。怪我が癒えて復帰した後も、制球に苦しむ場面が多く、結果的には今季、1度も1軍から声はかからぬままにファーム暮らしが続いた。

 ガツガツさは表に出ず、どこかハングリーさに欠けてきた高橋純。自身でも「野球は楽しくなきゃダメ、楽しければいい、みたいなところがあった」と自分を見つめる。良く言えばスマートだが、悪く言えば「貪欲さがない」。これまでの自己を思い返し「楽しいだけじゃダメということ。遊びでやっているつもりはないですけど、根本的に野球って楽しいものでしょうっていう感じだった」と、甘さを認める。

「自分を変えていくつもりで挑まないと。プロ野球に対して向き合っていかないといけない」。そう感じるようになった背景にあったのは、同い年の大関友久投手の存在。2020年に育成選手として入団し、ひたむきな努力で支配下、そして今季はローテを任されるまでに成長した左腕を高橋純は「すごく練習しますし、すごく考えている。大関ほど自分は野球に向き合えていないなと思った」と見つめていた。

「そこまでする自信がなかった。大関みたいな選手になってみたい気持ちはある。野球としっかりと向き合うというのが自分にとって必要だと思っています」。甘えを捨て、日々を野球のために費やす。プロ野球選手にとって当たり前のようで、なかなかできないこと。その重要さを改めて実感した。

 今季は1軍登板なしに終わったものの、来季に向けて手応えがあるのも事実。シーズン終盤はウエスタン・リーグでも好投し、秋のフェニックス・リーグでも結果が出た。小久保裕紀2軍監督からも「この感じだったら『来年は十分に中継ぎで勝ちゲームに入っていける』というものは見せつつある」と高く評価され、秋季キャンプでも力のあるボールを投げ込んでいた。

 新たに就任した斉藤和巳1軍投手コーチからも「自信を持って投げろ」と助言を受けた。ボールの威力自体は1軍クラス。足りないのは、自らを信じて投げ切ることにある。「自分が自分をちゃんと信用して、腕を振ったら勝手にいい球がいく。それを自分が信じないといけないと思います」。キャンプのブルペンでイキイキと投げる姿もまた、これまでとの変化を感じさせるものだった。

「本当にイチから野球に向き合った1年にしようというのが目標です」。オフはファーム施設のある筑後で徹底的に練習に励むつもりでおり「12月が、筑後に練習に行くのが楽しみなので」と燃えている。来季がプロ8年目。3球団が競合したドラ1右腕にとって“勝負のシーズン”となることは間違いない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)