明石コーチが「手放したくない」と注目 育成ルーキーが宮崎で味わった悔しさ

ソフトバンク・藤野恵音【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・藤野恵音【写真:上杉あずさ】

宮崎での秋季キャンプは負傷のために無念の途中離脱

 失意のキャンプ離脱だった。18日まで行われていた宮崎での秋季キャンプ。育成ドラフト1位ルーキーの藤野恵音内野手は第2クール初日で宮崎を離れることになった。三遊間の併殺プレーの練習で、捕球前に出した右手にボールが直撃。痛みをこらえて練習を続けようとしたが、出血していたこともあってコーチ陣に制された。トレーナールームで本多雄一2軍内野守備走塁コーチと話をしていると、悔し涙がこぼれた。

 その日のうちに宮崎市内の病院を受診し、CT検査の末に骨折の疑いと診断された。翌日には福岡へと戻って病院で再度、診断を受けると「折れていなかった」というのだ。藤野は「もしかしたら2日で治ったのかもしれません。診断違いかもしれないですけど、宮崎の病院から福岡の病院にCTの画像も送って貰っていたんですよね。だから、本当に治ったのかなと思いました」と安堵の笑みを浮かべた。

 第2クール最終日にはリハビリ組に合流し、ノックも受けた。第4クールからは通常の野手の練習にも加わった。怪我の回復も良好で「傷口もほぼ無くなりました。回復が早いみたいです」と笑う。藤野にとってはこれがプロ入り後初めての怪我による離脱だったが、短期間での離脱で済み、早々に復帰がかなった。

 宮崎秋季キャンプでは、泣く泣く第1クールで離脱となった。しかし、わずか4日間でも非常に濃厚な時間になった。主に指導を受けた明石健志2軍打撃コーチに「手放したくない」「出来ればずっと教えたい」とも言われたそうで、明石コーチも注目するホープ。「明石コーチには、バットの軌道がスムーズに出ていると言われました。ただ、力がないので、この秋はヘッドスピード上げようと言われて練習していました」。今オフやるべきことが明確になった。

 守備面については本多コーチに多く助言を貰った。「自分、股関節は柔らかいんですけど、股関節の入れ方というか、身体の使い方が分かっていなくて、それを教えて貰いました」。捕る形や基本的なことから取り組むべき課題があらわになった。「いっぱい課題が出たので、それを潰していって、春のキャンプでまずは宮崎に呼ばれるように、そして来シーズンは2軍に帯同できるように頑張ります」。4日間の宮崎キャンプで学んだことや見えた課題を胸に、離脱の悔しさもエネルギーに変えて、オフもレベルアップに励む。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)