練習量は宮崎キャンプ以上? 悔しさを胸に若鷹が汗を流した筑後キャンプ

筑後で行われた秋季キャンプは育成の重田倫明の手締めで終了となった【写真:上杉あずさ】
筑後で行われた秋季キャンプは育成の重田倫明の手締めで終了となった【写真:上杉あずさ】

森山3軍監督「選手もキツかったかもしれないですけど、やっぱり成果は出てます」

 18日に秋季キャンプを終えたソフトバンク。藤本博史監督率いるA組、小久保裕紀2軍監督率いるB組と時を同じくして、ファーム本拠地「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行われてきた筑後キャンプも打ち上げた。小川史4軍監督、森山良二3軍監督を中心とする3、4軍首脳陣の下で、育成選手ら若手が汗を流してきた。

 最終日は昼過ぎにタマスタ筑後のグラウンドに集まり、育成の重田倫明投手が手締めの音頭をとった。「今年ホークスは2位に終わりましたが、ここにいる選手たちの大半が悔しい、苦しいシーズンを過ごしてきたと思います」。筑後で過ごした選手たちの現在地を受け止めた上で「この悔しい気持ちを来年春のキャンプからどんどんアピールして、今上にいる選手たちにフォーカスが行くんじゃなく、僕たちが1人でも多くフォーカスしてもらえるような選手になりましょう」と決意を新たにした。

 当然、誰もが宮崎でキャンプを過ごしたかったはずだ。特に筑後組の野手は多くて7人、少ない時は4人という少人数だった。取り残されたような悔しさは想像に難くない。ただ、その分首脳陣が付きっきりで指導するなど、みっちりと練習に打ち込むことができた。森山3軍監督は、実りの秋をこう振り返る。

「野手が少なかったんですけど、その中でみんなバットの振り込みとか頑張って出来たと思います。コーチの方が人数が多かったですよね。打つにしても走るにしても守備にしても、みんなが付きっきりでやってくれた。選手もキツかったかもしれないですけど、やっぱり成果は出てますよね」

 今季まで1軍投手コーチを務めてきた森山3軍監督だが、この秋は投手陣は若田部健一、寺原隼人両3軍投手コーチに一任し、野手に目を光らせることが多かった。自身の考えを打撃コーチに伝え、指導方針や考え方も共有してきた。その考えの1つが、チーム打撃に関することだった。

「これは今年に限ったことではないんですけど、ゲームで見ていて、バントの失敗とか右打ちとかエンドランの失敗が多かった。藤本監督も言っていますけど、それはホークスだけではなく、僕が楽天の時にも感じていたこと。昔の僕らが現役の頃はバントの失敗とかエンドランの失敗とかあまりなかったので、それは目立った。簡単なことではないですけど、1回で成功できるように確率を上げていきたいなとは思っています。3軍の選手ですけど、将来的には1軍で活躍するために頑張って欲しいので。そのためには、バントとか右打ちとかエンドランとか細かいことが必要になってくる選手が多いと思うので、しっかり準備して練習していかないといけない」

 森山3軍監督は初めて預かるホークスのファームで当然、1軍選手とのレベルの差を感じていた。ただ、1軍では目の前の試合に勝つことが最優先。そこでは取り組めないようなことに、時間を費やせるのがファームの良さだとも感じた。「こっちは教育の場でもある。若手が多いですし、楽しみな選手がいっぱいいるので。技術的なことは1軍の選手と育成の選手でレベルの違いはハッキリしてますけど、これから伸びていく選手ばかりなので楽しみです」と期待を膨らませる秋となった。

 宮崎キャンプと比べれば、スポットがの当たりづらい筑後キャンプ。そんな中でも、選手たちは宮崎組に負けじとバットを振り、走り、トレーニングを重ね、野心を持って鍛錬の日々を過ごしてきた。量だけで言えば、宮崎キャンプ以上だったかもしれない。キャンプは打ち上げを迎えたが、逆襲の春に向けて、若鷹たちに休んでいる暇はない。過酷なキャンプで取り組んできたことを継続し、飛躍への礎としてもらいたい。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)