渡邉陸、海野隆司、谷川原健太はどうなる? 藤本監督が語る“キャッチャー事情”

ソフトバンク・海野隆司、渡邉陸、谷川原健太(左から)【写真:伊藤賢汰】
ソフトバンク・海野隆司、渡邉陸、谷川原健太(左から)【写真:伊藤賢汰】

「渡邉陸あるいは海野っていうところが今年以上に入ってこないといけない」

 ソフトバンクの藤本博史監督が16日、若手捕手たちの起用について語った。前日には新助っ人候補に挙がるウィリアンズ・アストゥディーヨ内野手の捕手起用の可能性を示した指揮官は「渡邉陸あるいは海野っていうところが今年以上に入ってこないといけないと思っていますし、その辺は考えていますよ」と語った。

 今季のソフトバンクは143試合のうち125試合で甲斐がスタメンマスクを被り、次いで海野隆司捕手が11試合、渡邉陸捕手が7試合で起用され、外野手もこなす谷川原健太捕手も試合途中から7試合に捕手で出場した。甲斐を脅かす捕手の育成の必要性がある中で、球団はFA戦線でDeNAの嶺井博希捕手、捕手も守れるアストゥディーヨの獲得に乗り出している。

 将来を期待される若手捕手がいる中での補強で気になるのは、彼らがどのように起用されていくのか、という点。ただ、藤本監督は「あくまで(アストゥディーヨは)助っ人としてくるわけですからね。日本人選手のレベルと一緒じゃ困るわけですから。それなら日本の選手を使います。甲斐がメインなのは当然だし、そこに渡邉陸あるい海野っていうところが入ってこないと。今年以上に入ってこないといけないと思っています」という。

 その中で捕手に求められるのは「ピッチャーの信頼度」だと指揮官は言う。「ローテーションに入ってるピッチャーが『え?』って顔をしただけで、ピッチャーの心理が崩されてしまうわけだから。その辺の信頼というのも大事だと思う」と言う。

 打力が武器の渡邉陸だが、課題は守備面にある。ブロッキングやスローイングは甲斐や海野には劣る。指揮官も「渡邉陸は今年の16試合で信頼を得られたかというと、得てないよね。自分の思うように配球、リードして、最後に一発打たれて、そこからもうアウトコース一辺倒になったとかね。本人がそれは自分で分かっているからね、1球の怖さというか。それがいい経験でいい勉強だから」と評価する。

 理想は「来年、30試合から40試合マスクを被れるようになったら、もっと成長じゃないかなと思う」とも藤本監督。「渡邉陸が甲斐のリード、甲斐のブロッキング、甲斐の肩を真似できるかっていうと、そこは難しいと思う。じゃあ、何で甲斐に並ぶのかっていうと、打つ方ですよね」とし、守備面を補って余りあるだけの打力を持つ捕手になることを期待している。

 一方で、今季、主に2番手捕手を任された海野に対しては「海野にも言いましたよ。甲斐と同じ自主トレして、甲斐のリードを真似しても、お前は甲斐には勝てないよ、と。海野は海野のリードをしないとさ。吉田正尚にだったら、相手の体の側に構えるとか、大胆にやってもいいんじゃないか。あ、こいつ大胆なキャッチャーやな、で、海野が目立つわけやから」と言及。“オリジナリティー”を出すことを求めていると言う。

「当然、甲斐も負けじと全試合出場って考えてやってくれるでしょうし、そこはいい競争をしてくれたらいい。みんな競争ですから。アストゥティーヨが来ると言っても、来て、蓋を開けてみないと分からない。レギュラーを空けているわけじゃないですよ」と語る藤本監督。正捕手の甲斐を軸とした捕手の競争も激しくなりそうだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)