鷹に新たな“二刀流選手”が出現 育成再契約の小林珠維が桑原秀侍と挑む新たな道

ソフトバンク・桑原秀侍、小林珠維【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・桑原秀侍、小林珠維【写真:上杉あずさ】

今オフ戦力外となった小林は投手への転向を模索し、キャンプを過ごす

 ソフトバンクに2人目の“二刀流選手”挑戦者が現れた。筑後のファーム施設で行われている秋季キャンプで、投手と野手両方のメニューに取り組む若鷹がいる。桑原秀侍投手と小林珠維内野手だ。2人は自らの可能性を追い求めて、“投打”で練習に取り組んでいる。

 桑原は神村学園から2020年育成ドラフト3位で投手として入団し、今季が2年目だった。元々、投打ともに評価の高い選手で、昨秋には球団からの提案を受けて二刀流挑戦をスタートさせた。今季から、球団としても初の“二刀流”を実践。当初は日替わりで投手と野手の練習を行い、シーズンが始まってからは、週ごと、もしくはクールごとと、期間を決めながら投打双方の練習に取り組んだ。

 しかし、今季は新型コロナの感染拡大や3軍の試合数が大幅に増えたこともあり、3軍が投手不足に。そんなチーム事情により、シーズン後半は投手に専念する形になった。結果、3軍では野手としては44試合に出場して打率は1割台。投手としては先発、中継ぎで33試合に登板して5勝6敗だった。

 シーズンが終わり、台所事情を考慮する必要がなくなったため、存分に練習できる秋季キャンプを期に、改めて“二刀流”挑戦を再開。今季、投打双方をこなして結果を残すことが容易ではないことを身をもって実感した。それでも、「両方好き」という野球少年のような純粋な思いを原動力に、挑戦を続ける覚悟で「どっちもレベルアップするための秋にする」と意気込んでいる。

 一方の小林は先月、球団から戦力外通告を受け、育成での再契約を打診されていた。その際、投手に転向して、再スタートしたいという意思を自ら球団に伝え、14日に育成選手としての再契約にサインした。小林は2019年ドラフト4位で東海大札幌高から入団し、今季で3年目。高校時代は最速150キロの本格派右腕として知られ、投手として高校日本代表の1次候補にも選ばれていた。

 他球団からは投手としてスカウティングされていたが、ポテンシャルの高さを評価されて、ホークスは内野手として小林を獲得した。だが、入団して3年が経過する中で、思うような結果を残せず、特に今季は伸び悩んでいた。

 なぜ、小林は投手転向を直訴したのか。「終わるときに後悔したくない」と、その思いを明かす。キャンプでは、投手と野手両方で練習しているが、軸足は投手に置く。投手転向を基本線としながら、「実戦で投げてみないと分からない」という考えもあり、野手としての可能性も捨てずに道を模索している。

「世の中では二刀流って言うのかもしれないですけど、両方やって、自分が出し惜しむ物がないようにやるだけだと考えています」。あくまで自分の可能性を広げるための一つの手段だと考えている小林。一冬越えて、いずれかに絞って勝負するつもりで、この世界で生き残るため、決意を新たに挑んでいる。

 球団は2人の意思を尊重する意向でいる。来季から4軍を任される小川史監督によると、この秋のキャンプではクールの2日目に桑原が、3日目に小林が野手としての練習を行う予定になっている。「本人がやりたいということなのでね、やらせるみたい。ただ、2人には2つやるって事は倍、練習しないといけないけど、その覚悟はあるんか? と言ったら『ハイ』って言ってたんでね」と語る。

 ただ、この挑戦の難しさも当然感じている。「やっぱり二遊間でピッチャーもやるっていうのは難しいとは思う。内野手ってタッチプレーなんかもあるし、突き指する可能性もあるからね。外野とはまたちょっと違うから凄く難しいことだとは思うんだけど、とりあえずは本人たちの意思を尊重して、まずはやらせてみて。そこからはまたどうなるか分からないけど」と小川4軍監督。来季から始まる球界初の4軍制で選手は増え、競争激化は必至。その中で、“二刀流”で輝けるか。彼らのこれからに注目したい。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)

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