来季目指すは「15勝」 板東湧梧が秋季キャンプで取り組む“変化と進化”とは?

ソフトバンク・板東湧梧【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・板東湧梧【写真:福谷佑介】

秋のキャンプの最重要テーマはカットボールの改良

 ソフトバンクの板東湧梧投手が、秋季キャンプで新たな取り組みを行っている。第2クールを終え、ブルペンでの投球練習でも試行錯誤を繰り返している。斉藤和巳1軍投手コーチに対し、来季の目標に「15勝」を掲げた右腕が、さらなる進化を目指している。

 ブルペンでの投球練習中に、捕手との間で何度も繰り返される「強い?」「今のはちょっと弱い?」といったやり取り。1球ごとにボールの強さや変化、軌道などを確認し、感覚をつかもうとしている。板東が秋のキャンプで掲げているのは、カットボールの改良だった。

「カットボールというか、スライダーというか、そこの曲がり球のところを来シーズン、自信を持って投げられるようにしたい」。今季は25試合に登板。シーズン終盤には先発ローテーションに入り、9月24日のロッテ戦ではプロ初完封勝利も飾った。クライマックスシリーズでも先発マウンドを任され、惜しくも敗れたものの、貴重な経験を積んだ。

 来季は開幕から1年間、先発ローテの一角で回る。そこに向けた克服すべき課題の1つが“曲がり球”だった。板東といえば、時速150キロを超える真っ直ぐとカーブ、そしてフォークが武器。カットボールも持ち球ではあるものの、板東自身の中では自信を持って投げられるボールではなかったのだという。

「単純に自信を持って投げられる時が少なかったというのと、自分の中であまり自信がないから投げるときに神経を使うというか、疲れちゃう」。自信がないからこそ、投げる時に神経を使う。それが重なると、他の球種を投げる以上に負担がかかるのだという。1試合で100球以上を投げる先発投手だけに「自信を持って、ゾーンで勝負できる球にしたい」という。

 これまでのカットボールはストレートに近い球速帯で、変化は小さかった。「そこからちょっと大きくとか、空振りが取れるイメージを基準にやっています。僕のカットは真っすぐのタイミングで打たれるイメージが強いので、そこでちょっとタイミングを外せるような感じにしたい」。球速を少し落とし、変化の幅を大きくする。理想として思い描くのは、先輩の東浜巨投手のカットボールだ。

 来季は千賀滉大投手がメジャーリーグ挑戦のため、チームを離れることが確実。エースがいなくなるだけに、板東への期待も大きくなる。「あとは本当に全体的なスケールアップもテーマ。自分はまだシーズン通して先発で回ったことがない。とにかくそこを目指してやりたいなっていうところと、リーグ優勝するためには先発が2桁以上勝たないと、というのを目指してやっていきたい」。次なるエースを目指して、板東も己を磨いている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)