野村勇が絶賛「今まで見てきた中で1番速い」 驚異の脚力誇る“韋駄天”育成選手

ソフトバンク・舟越秀虎【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・舟越秀虎【写真:上杉あずさ】

今季3軍でチーム内でも群を抜く37盗塁を決めた舟越

 ホークスの育成選手の中で、驚異の俊足を誇る選手がいる。ファーム施設がある筑後市のお隣、八女市出身の舟越秀虎外野手。育成選手からチームの主力の1人に成長した牧原大成内野手と同じ城北高校(熊本)から2019年の育成ドラフト5位でソフトバンクに入団した21歳だ。

 今季は3軍で98試合に出場し“チームトップ”の37盗塁をマークした。2位の16盗塁に倍以上の差をつける圧倒的な盗塁数。掲げていた「50盗塁」の目標には届かなかったが、積極性と俊足ぶりは十分に伝わる数字だ。3軍とはいえ、積極的な走塁は大きな武器。特に“一芸”が求められるホークスの育成選手の中で、舟越は“足”という特徴を持っている。

 育成3年の今季は自身の成長を感じる1年になった。「今シーズンは1、2年目に比べても1番結果が出ましたし、僕のセールスポイントの足でも、盗塁できている。満足ではないけど、成長はしていると思います」と振り返る。今季は2軍の公式戦デビューも果たした。2軍では6試合に出場し、公式戦初安打は持ち味の俊足を生かした内野安打だった。

 3軍制を敷くソフトバンクでは、2軍と3軍が明確に区別されている。規定で出場できる人数も限られている育成選手が2軍に定着するのは容易ではない。だからこそ、少ないチャンスで結果を残したり、3軍で与えられる実戦の機会で、2軍に呼ばれるためにも際立った成績を残す必要がある。その意味でも3軍とはいえ、群を抜く盗塁数を見せたことは収穫だろう。

 チーム内には他にも俊足が持ち味の選手が多数いる。同タイプの選手で言えば、同じ育成で、内野手登録ながら今季途中からは外野がメーンになった緒方理貢内野手。緒方は大卒2年目の今季、ウエスタン・リーグ盗塁王に輝いた。2軍戦68試合に出場し、17盗塁。2軍ではチーム断トツの盗塁数をマークした。緒方も当然、足でアピールし、支配下登録を目指している。

 チーム内で言えば、周東佑京内野手や野村勇内野手が特に脚力で存在感を放つ選手だ。周東は育成から足を武器に這い上がった。野村勇も足でチャンスを掴み、1年目からアピールに成功している。舟越もここから這い上がる上で2人の先輩は参考とすべき選手であり、ライバルとなるべき存在でもある。

 舟越も「足で支配下」を狙う。まだまだ課題も多くあるが、純粋な足の速さだけで言えば「負けていない」という自負がある。舟越には自信を深める出来事がある。それは、野村勇に「今まで見てきた中で1番速いと思う」と言われたこと。今季1軍で10盗塁を決め、“神走塁”でチームに勝利をもたらした先輩からの“お褒め”の言葉に「1軍の選手にそう言って貰えたのは自信にも繋がったし、嬉しかった」と舟越は言う。

 1軍選手も一目置く、そのポテンシャルを発揮するためにも、舟越は技術を磨く。昨季まで3軍で、今季は2軍でコーチを務めていた関川浩一コーディネーターには「3S」を口酸っぱく言われてきた。「3S」とは「スタート、スピード、スライディング」のこと。その言葉を胸に、積極的にトライした3年目。徐々に結果となって表れてきた。

 来季は覚悟の4年目になる――。今季中の支配下登録はつかめなかったが、着実に階段を上ってきた舟越は、来季の飛躍を誓う。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)