鷹投手陣は「長所だらけ」、千賀の穴は「埋めます」 斉藤和巳投手コーチが語った全て

就任会見に臨んだ斉藤和巳1軍投手コーチ【写真:球団提供】
就任会見に臨んだ斉藤和巳1軍投手コーチ【写真:球団提供】

千賀はメジャー移籍が濃厚「埋めないといけないし、埋まると思っています」

 1日に本拠地PayPayドームで入団会見を行ったソフトバンクの斉藤和巳1軍投手コーチ。会見終了後には報道陣の囲み取材にも対応し、来季に向けたホークス投手陣の建て直し策や、今季12球団ワーストに終わった四球数に関しての持論を展開した。

 斉藤和投手コーチの囲み取材の一問一答全文は以下の通り。

――会見では胃が痛いとおっしゃっていました。
「もちろん。いきなり1軍だからね。もうこれはチームの勝敗に直結するところだし、まあピッチャーのところが今年1年の戦いの中でも課題として大きく出てしまった部分もあるから、そういったところも考えると、ちょっとプレッシャーは大きいかなと。でも、ないよりはまだいいかなっていうふうに切り替えていますけどね」

――解説で試合は見ていましたが、現状のホークスの投手陣の長所と短所はどこに。
「長所だらけだと思うけどね。それはお世辞抜きにして。はたから見ていても、多分ファンの方もそうだけど、物足りなさっていうのは1人1人の投手に対して感じてる部分は大きいと思うんで、もう少し長所を1人ずつ出していければ、自ずと数字もある程度変化していくんじゃないかなというところも感じている。それを手助けというか、アプローチの仕方というか、そういったところを一緒にやっていくのが自分らの仕事かなっていうところもあるので」

「外から見ても能力の高い投手は多いですから、これはもう自分の見ている感じだけじゃなく、他のチームのOBとか、いろんな人たちと話をするときも、ホークスはピッチャーが豊富やから、選手が豊富やからと、これはもう皆さんが言われることなんで。はたから見るとそういうふうに見えてるということは、1人1人の選手の能力は間違いなく高いっていう証拠だと思いますけどね」

――千賀投手がメジャーにいく可能性が高い。
「まだ、彼が本当に抜けるかどうかっていうのはわからないところで、その可能性の方が大きいのかなという感じでしか今は話せないですけど、もし、いなくなったらということも考えながら、やらないといけない。彼の穴はなかなか埋められないっていう言葉は使いたくはないですね、立場的に。どうにかして埋めますし、埋めないといけないですし、埋まるというふうに今思っています」

――どの選手にも期待していると思いますが、化けそうな選手はいますか。
「お世辞抜きに、みんなだと思う。それは主力の投手しかり、まあワッチ(和田)に関してはよく頑張ってるなって思うけど、それ以外の先発ピッチャーもリリーフもみんな若いからね、30歳いってるかいってないかくらいでしょ、みんな。まだいけるかなという感じはあるんで。それは外から見た感覚なんで、中に入ってみて、1人1人と話しながら、どういう感覚で投げてるのか、いろんな角度から話をしながら感じることもあるでしょうし。いや、もう本当お世辞抜きに、ほぼほぼの選手がもう少しこうすればもっと楽になるのになとかっていうのは絶対あるんで。今はもう現役の年数も長くなってきているんで、30ぐらいで老け込んでるようじゃダメだと思いますし、みんな可能性あると思います」

――藤本監督は藤井投手や森投手をはじめ先発をたくさん作りたい、と。
「全員を先発に回すわけにはいかないんでね、やっぱりこれだけ分業制という野球の流れになっていて、ただその辺りは見ているファンの方が物足りなさを感じているはずなんですよね。勝つことが一番でしょうけど、やっぱ負けたときっていうのはいろんなことが浮き彫りになってきますから。今年でいうと、パ・リーグでホークスが先発の平均イニング数が一番低い。先発完投型をっていうような声も聞いたりしますけど、なかなか難しい部分もあるのかなという感じもしますし、その辺りはどうなんですかね。先発に全員を回したからといっていいわけではないですし」

「やっぱり後ろがしっかりしているチームが上位に来ることは間違いない、ほとんどそういう位置付けになったりもしてますから。藤井は僕もまだしっかり話してないんで、監督と(斉藤)学さん(1軍投手コーチ)ともね。藤井の先発に関しても決定ではないでしょうから。その辺りもいろいろ今後、他に外国人選手が入ってくるかもしれないですし、新加入の選手もいるかもしれないんで、その辺りとの兼ね合いもある。個人的にはその辺りのバランスはちゃんと見ながら、先発が物足りないから先発に回すっていうのはちょっと避けたいなと思いますけど。その辺りは中に入って、監督と学さんと話しながらかなという感じはしてますけどね。最終決定は監督なんで」

――秋季キャンプはどうアプローチを。
「まずは見ないことにはね。ピッチング練習ももちろんそうですけど、練習してる姿であったり、そういったところでも選手の1人1人の性格も含めて、カラーというのかな、そういうのも絶対出てくるはずなんで。もしかするとそれで自分に見えたところで、その選手にとって改善するべきところが見えるかもしれないし。全ての練習は、何をするにも投げるためにやっている、ただ投げるためだけではなくて、バッターを抑えるために練習するわけですからね。そういったところもどういう意識でやっているのかっていうところも見て聞いてっていうところからスタートしないことには、技術面のところを飛び越えるわけにはいかないんで。実際見てしまったらイライラが止まらないのかもしれん。そこはわからないけど、そういうイメージ、想像はしています」

――フォアボールを減らすためにどうする。
「トータル的に言えば、メンタルも含めて技術なんで。メンタルと技術を離していてはいけない。全部一緒なので。それはよく言う心技体っていう言葉でね、それはもう1つなんで。1個1個が良くてもダメ。全部をバランスよく持ってないとダメですし、それは1人1人、選手と話してみて、どのあたりが劣ってるのかっていうかを探らないといけないですし、本人が気付いていてできないのか、もしかしたら気付いてないのかってのがあるかもしれないので」

「こっちの考えを押し付けるわけではなく、一気に改善できるのかはわからないですけど、1人1人の意識とか技術とか、そういうのが変わっていけば、トータル的に自ずと数字は変わってくるはずなんで、そう信じてやるしかない。減らすことが全てじゃないんで。結局は勝つことが全てなんで、さっきも会見で言いましたけど、意味のあるフォアボールを増やしていければ、自ずと勝つ確率は上がってくるんで。ピッチャーもフォアボール出したくて出してるわけではないんで、ただ、無駄なフォアボールっていうのが出る原因ってのは必ずあるわけです。そこはしっかり1人1人のピッチャーが向き合い続けれるように、こっちもいいアプローチができたらなと思います」

――打倒オリックスのためには。
「これはピッチャーとバッターが両方頑張らないといけないんで。ピッチャーのやることっていうのは、極力無駄な失点を減らすっていうこと。それはもうピッチャーの大きな仕事。ただこれはピッチャーだけじゃなく、バッテリーの共同作業なんで。そういったところもね、バッテリーの、キャッチャーのところは管轄外かもしれないですけど、的山コーチともいろいろ話をしていかないといけないことも多分増えてくると思います。そういったところを少しずつ改善できれば、少しでも改善できれば」

「今年はそこ(オリックス)だけなわけですよね。結局、オリックスに負け越したっていうところが。トータル的には同率なんで、そんなに大きな差はないですし、その小さな差がもしかすると結果、大きくなってしまったというだけであって、1人ずつが何か改善していければ、いい方向に行ければ、確率的にはもう一番上に行けるようにはなってると思うんですけどね」

――オリックスの中継ぎ陣に負けられない。
「もう素晴らしいピッチングスタッフですもんね、オリックスは。見ていても惚れ惚れするというか、見ているこっちが気持ちを持っていかれるような、しかも、ああいう大舞台でっていうところで。ここっていうときのピッチングがみんなできるようにね。調子がいいときはいい、悪いときは悪いじゃ意味がないんで。調子が悪いなりにもピッチングができるような、そういうふうにこちらもいろいろと手を変え、品を変え、やっていけたらと思います。必ず試合の中で何度もピンチはあるんで、そのピンチの場面で、ここっていうときに自分がイメージしたボールをイメージしたところに投げるために、日頃の練習、日頃の時間を費やしてるわけですから。365日、24時間、そのイメージをずっと持っておいてくれるような選手を1人でも増やしたいですよね」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)