「会心だった」今年のドラフト会議 永井本部長の言葉から読み解く指名の狙い

ソフトバンクから1位指名された誉のイヒネ・イツア【写真:小林靖】
ソフトバンクから1位指名された誉のイヒネ・イツア【写真:小林靖】

イヒネは“ポスト今宮”、投手は即戦力と素材型とバランス重視

 ソフトバンクは20日、都内のホテルで行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で1位のイヒネ・イツア内野手(愛知・誉高)ら支配下6選手、育成で20選手、ドラフト史上最多の計20人を指名した。永井智浩編成育成本部長が「100点に近いドラフトができたんじゃないかと思います」と語るなど、納得の指名となった。

 9球団が1位入札を公表する異例の展開となった今年のドラフト。各球団の思惑が交錯する中でホークスは超素材型のイヒネの入札を公表し、単独指名に成功した。公表時に永井本部長が「シンプルにスカウトの評価が高い選手」と話していた通り、大型のショートストップとして秘める底知れないポテンシャルを評価しての指名となった。

 イヒネの指名には明確な狙いがある。ソフトバンクといえば、今宮健太内野手が不動の遊撃手として君臨。近年は故障に苦しむシーズンが増えていたが、今季は130試合に出場して打率.296とキャリアハイの数字を残した。とはいえ、今宮も31歳。3年後、5年後の後継者探しは急務だった。

 遊撃手では川瀬晃や川原田純平、小林珠維らが控えるものの、3選手とも打撃は巧打のタイプ。打線の中核を担えるパンチ力のあるショートストップは、チームのニーズを満たす存在で、永井本部長も「時間をかけてレギュラーになってもらいたい選手」と、長期的なスパンで、今宮の後継者となるべき選手と見ている。

 投手では2位で大津亮介投手(日本製鉄鹿島)、4位で大野稼頭央投手(鹿児島・大島高)、5位で松本晴投手(亜大)と3人を指名した。大津は右腕、大野と松本は左腕。来季は千賀滉大投手がメジャー挑戦で抜ける可能性が高いが、エースの埋められる即戦力投手はそう簡単に見つかるものでもない。1軍の戦力となり得る頭数は豊富にいるだけに、即戦力と素材型、左右のバランスを考慮した指名で、永井本部長も「素材型の投手も、即戦力型の投手もしっかり獲れた」と語っていた。

 3位で指名したのは甲斐生海外野手(東北福祉大)。今秋のリーグ戦で本塁打と打点の2冠王に輝いた大砲候補だ。ホークスの外野は主砲の柳田悠岐外野手を中心に、今季はユーティリティの牧原大成内野手や柳町達外野手、正木智也外野手らが台頭。怪我で離脱していた栗原陵矢外野手や上林誠知外野手も来季は復帰できる見込みだ。

 とはいえ、柳田が34歳になり、牧原大や柳町は一発を打つタイプではない。チーム全体を見渡しても、大砲タイプの外野手は高卒2年目の笹川吉康外野手くらいで、こちらもチームのニーズに合致するタイプの選手と言える。6位の吉田賢吾捕手(桐蔭横浜大)も打力に秀でる捕手。正捕手の甲斐拓也捕手、2番手の海野隆司捕手はディフェンスに特長があるタイプで、打力に優れる渡邉陸捕手と共に甲斐を脅かす存在として、層の厚みをもたらしてくれそうだ。

 来季から4軍が新設されることもあり、育成ドラフトでは昨季と同じ14選手を指名した。永井球団本部長は「育成に関してはしっかりスカウトが見て、特徴を持った選手」と語るように、これまでの方針と同様に“一芸”に秀でる、まだまだ荒削りでもポテンシャルを秘める選手たちを指名した。

 1巡目の赤羽蓮投手(茨城・霞ヶ浦高)は187センチの長身から投げ下ろす最速152キロの真っ直ぐが武器で伸びしろは十分。4巡目の内野海斗投手(広島・武田高)や5巡目の岡植純平投手(兵庫・飾磨工)、6巡目の佐々木明都投手(福島・学法福島高)も将来性重視の指名に。9巡目の重松凱人外野手(亜大)は50メートル5秒9の俊足を誇る“周東2世”になり得る存在だ。

 ドラフトの全指名を終えた永井本部長は「今年は1位から6位までしっかり会心だったんじゃないかと思います。イヒネくんから全てがこちらが準備したドラフトができた」と頷いた。ここから何人の選手が1軍の舞台へと羽ばたけるか。新たなルーキーたちが加わる来季が楽しみだ。

(鷹フル編集部)