違いを見せる2人の若鷹「彼らしか対応できてない」 小久保2軍監督の一問一答全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:福谷佑介】

打線が振るわない中で対応力を見せている野村大樹と増田珠

 ソフトバンクの2軍は17日、宮崎県内で開催中の秋季教育リーグ「第19回みやざきフェニックス・リーグ」でDeNAと戦う予定だったが、雨天のため中止となった。チームは室内練習場で練習を行い、小久保裕紀2軍監督がここまでの戦いを振り返った。

 小久保監督の一問一答は以下の通り。

――雨で試合は中止。ここまで5試合の収穫と課題は。
「課題の方が多いね。やっぱりふだん対戦してないイースタンのピッチャー、球種ぐらいは分かるでしょうけど……。軌道が分からず、結局、初見のピッチャーに対して打てない。技術不足。全然知らない国に行って、国際試合で全然知らんピッチャーと対戦するとなると、絶対に彼らは打てないだろうなって」

「情報過多の時代に、本能のまま『真っ直ぐ狙いながら変化球に』みたいな、一番試せるというか、明らかにその差が出てしまう。だから、1軍でやってきた選手はヒットが出るかどうかは別にして、それなりにちゃんと対応できているなと。野村大樹にしても、増田にしても、個人の調子の良し悪しは当然あるんですけど、根本的に彼らぐらいしか対応できてないもんね。この5試合見たら」

「だから、いかにデータに頼った中で、今年はちゃんと1年間対策を立てさせて、打席の振り返りをさせたりもしてきたんですけど、改めてこの本能のところ、知らないピッチャーにどうするんだっていうところは今、一番訓練できるチャンスかなと逆に思いますけどね。ウエスタンは5チームしかないんで、(相手)4チームのほぼ同じピッチャーと対戦してきた弊害が、ちょっと出ているかなっていう気はするね。弊害と言ったらあれやけど、その組織の中、リーグの中でやっているんで、それは変えようがないんですけど、知らない投手に対する1打席での感じた中での修正能力とか、そういうのは問われますよね」

――データに頼り過ぎない野球の本質。
「そう、球種は分かるでしょうけど、そのスライダーは、自分から見たら真っ直ぐを待っていても、そのスライダーを打てるのかどうかなんていうのは打席に立ってみないと分からない。立ってからの自分の情報として、次の打席に生かせるかって。これは残りあと10試合くらいまだあるのかな、出る選手たちは大いにそこへトライしてほしいですね。知らないんで……とか、あんまり対戦ないんで分かりませんで済ませたら、2軍のピッチャーたちですからね。このぐらいはさばいていかないと、という意識になってほしいですね」

――打席で選手がやろうとしていることは見ていて分かる。
「チームとしても一応、バッティングコーチがその日の課題は出してるんですけど、ことごとくできていないので。技術不足って言ってしまえば、それで終わるんですけど、でも逆にそこで初見のピッチャーに対しても、やっぱりこういった対応できてるなとなれば、光るものがあるんで。そういうのが出てきてほしいですね」

――監督を選手に任せてみている。
「経験値っていうか視野を広げるっていうのが、目的はそこなんですけどね。自分のプレーだけじゃなくて、俯瞰して見たときに、チーム全体の流れとかで、自分が監督ならここでこうする、でも、打線の中で見たらここにはサイン出せないなとか、打たせる選手しかいないなっていうメンバーもいるわけなんで、ここは先に送っておこうかなとかっていう視野を広げるというのが一番の目的ですね」

――ノーノーされたり9回に逆転されたり、試される試合も。
「そうですね、シーズン中はこちら側がそういう指示を出すので、今しかできないこと。内野手のリーダーも決めて、この前、9回に逆転されたけど、あの状況で川原田がパニックになりながら、ファーストの指示もサードの指示もセカンドの指示も出さないといけないんで」

「振り返ったときに4点リードの無死満塁で、ファーストが前に守っていますからね。他球団のコーチが見たら、松山さん野球知らないなと思われたら悪いなと思った。それぐらいやっぱり、アレはないですねって、次の日には分かるんですよ、見直してくるんで。ただ、その時はパニックになるから。そういう視野を広げるという点でも、競ったゲームが多かったり、追い上げられたり、余計に選手にとってはプラスかなと思います」

――それがグラウンドに立ったときに生きる。
「当然、もちろん視野を広げておくっていうことは大事なことなので。それが先を読みできる、予測にもつながると思うし。だから残り少ないですけど、そういう場としても有効活用しながら、やっていきたいと思ってますけどね」

――1軍も悔しい終わり方をして若手の底上げももっと必要。
「そうですね。あとは4軍までできるわけですから、駄目なら下に落ちていくわけなんで。今回もここにいる選手の中で秋のジャンプ来れるかどうかっていうのはまだ全然決まってないし。ひょっとしたら、1軍のメンバーが多ければ、ここにいる3分の1ぐらい帰さないといけないかもしれない。それはこのフェニックス次第ですよね、正直」

――リチャード選手が来て、明日からもっと1軍でやっていた選手が来る。
「そうそう。となると、今日帰る選手も結構いるんで、そうなってきますよね。今日帰る選手たちも、来るのが分かっている中で、そこまで彼らがアピールできたかって言ったら、できなかったから帰すわけなんで。黒瀬の場合はちょっと年齢的なものもあるんで帰しますけど、競争なくしてチームのやっぱり底上げはないと思います」

――4軍ができて人数も増える。より危機感を持ってほしい。
「危機感は逆に出にくいかな。やっぱり育成が多すぎて、5枠ぐらい、5枠ではじまるといいけど、5枠を50人ぐらいで争うわけですから、(支配下に)なれても10人に1人って考えて、今年は無理かなっていうのも当然出てきてもしょうがないので。それはそれで、出てくる中からでも、狙ってくる選手に持っていかないといけないんで。至難の技ですけど、まあ僕の場合は2軍なんで、2軍は次、手の届くところに1軍があるんで、まだいいですけど、3、4軍の預かる組織としては、モチベーションを高く維持するのは難しいけど、やらせる練習はきっちりやらせないと、やっぱり伸びないということになってくるかなというふうに思いますね」

――緒方選手とか今年1年、2軍にいた選手はもちろんモチベーション高く保ってもらわないと困る。
「4軍から1軍はないでしょうから、もう必ずつかんでやるんだって思ってスタートしないんだったら、入ってくるなってことになるんで。当然、1A、2Aの選手がいきなり飛び級でメジャーリーガーになれるかって言ったらなれるわけないんで。でも彼らは必ずなってやると思ってその時間を過ごしてるわけじゃないですか。そういうふうに必ずなってやるっていう選手をやっぱ取らないといけないし、入った中でもその気持ちだけは切らさないように持っていかないといけないですね」

――ちなみに明日は監督は誰。
「まだスタメンを決めていないんで。誰が補欠になるか分からない。補欠から選びます」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)