直前の空振りから生まれた一発 25日ぶりスタメンだった野村勇が掴んだ“自信”

ソフトバンク・野村勇【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・野村勇【写真:藤浦一都】

本塁打を放った打席で喫した空振り「自分の中では感覚が良かった」

 ソフトバンクは14日、敵地・京セラドームで行われたオリックスとの「パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ第3戦に3-0で勝ち、日本シリーズ進出に望みをつないだ。初回に2点を先制すると、7回にはルーキーの野村勇がソロ。投げては、エースの千賀が7回途中無失点と好投し、リリーフ陣も無失点でつなぐ完封リレーで逃げ切った。

 2点をリードして迎えた7回。勝利を大きく手繰り寄せる一発を放ったのは、スタメンに抜擢されたルーキー野村勇だった。1死走者なしで打席に立つと、フルカウントからの6球目、外角高めに浮いたカットボールを弾き返した。「手応えはバッチリでした」。快音を響かせた打球は右翼スタンドへのソロ本塁打となり、リードが3点に広がった。

 左腕の田嶋対策としてスタメンに抜擢された。CSではもちろん初スタメン。レギュラーシーズンでも9月19日のオリックス戦(京セラD)以来、25日ぶりの先発出場だった。この間、打席に立って、投手の生きたボールを見たのは、たった3打席。「そこが一番難しいところだった」。久々に見る投手のボールにどうアジャストするか。そこが鍵だった。

「いつ出番が来てもいいように準備はしていた」という野村勇。前回のスタメンだった9月19日の試合は2打席凡退で途中交代を告げられた。この時も「ピッチャーを見ていないと難しい。感覚がズレてくる」と感じた。その後は出番がなくとも、常に投手の生きたボールをイメージして練習に励んだ。と同時に、バットが体から離れてしまう悪癖も修正した。

 この日も左飛の1打席目、右飛だった2打席目と内容は良くなかった。「1、2打席目は本当に久し振りであまり打席の感覚がなかった。1打席目にちょっと何か自分の中でもちゃんと振れていない、ちょっと当てに行ってる感じがした」。自分の中で感じた課題を打席間に微調整した。

 そうして迎えた3打席目。野村勇の感覚にある変化が生まれた。2球目、低めのフォークにバットは空を切った。さらに4球目、同じように低めのフォークに空振りした。ただ、この空振りで、今季10本塁打を放ったルーキーの頭に湧いてきたのは自信だった。

「空振りしたんですけど、自分の中では感覚が良かった。あの高さを振ってるから当たっていないだけで『全然いける』と思って。あそこのフォークは振らないように意識しながらだけど、正直なんかわからないんですけど、この空振りでOK、そこを当てにいったらダメ。しっかり振り切れてたんでこれでいけるかなと」

 5球目のツーシームを見送り、フルカウントに。そして6球目、高めに浮いたカットボールを逃さず、打球は右翼スタンドへと飛んでいき、貴重な3点目が生まれた。チームが崖っぷちの状況で巡ってきたスタメンのチャンス。「緊張もあんまりしなかったんですけど、もう負けられないんで、割り切ってやるだけだと思って気負わずにいけました」。野村勇が、ソフトバンクの逆襲のキーマンになるかもしれない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)