藤本監督も目を細め「大きいよね」 柳田の満塁弾に繋がった“2番・周東”の意味

「2番・三塁」で先発したソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】
「2番・三塁」で先発したソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】

痛烈な二塁ゴロでも併殺にならなかった周東の足

■ソフトバンク 8ー2 西武(CSファースト・9日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは9日、PayPayドームで行われた「パーソル クライマックスシリーズ パ」ファーストステージの西武戦に勝ち、ファイナルステージ進出を決めた。3回に柳田悠岐外野手にバースデー満塁弾が飛び出して4点を先制すると、その後も効果的に加点して8-2で快勝した。

 勝負を決めたのは、キャプテンの放ったグランドスラム。この一打は大きかったが、一発が飛び出すまでの過程に、藤本博史監督の“狙った”プレーがあった。

 この回、先頭の柳町が四球を選ぶと、続く甲斐はバントを決めて走者は二塁へ。さらに三森も四球を選び、1死一、二塁とチャンスは広がった。ここで打席に立った周東の放った打球は二塁手への強いゴロとなったが、周東の足が勝り、併殺を逃れた。

 この時、外崎は二塁のベースカバーに入った遊撃手の源田にトス。源田も一塁へと転送し、二遊間は流れるような無駄のない動きを見せた。それでも周東の足が一足早く、一塁に到達して塁に残り、状況は2死一、三塁に。続く牧原大の死球で満塁となり、柳田の満塁弾が生まれた。

 試合後、藤本監督はこの周東の併殺崩しを「大きいよね」と目を細めた。前日は8番だった周東を、この日2番に上げた狙いの1つは、この周東の足にある。「周東だったらゲッツーはほぼない。終盤まで送りバントをしない、ということができる」。バントをする場面ではなかったものの、2番に周東を起用した効果が出た場面だった。

 また、この3回は柳田のホームランの1安打だけで大量4点を奪った。走者は3人とも四死球で出塁し、試合前に指揮官が語っていた「フォアボールを上手く利用して得点に絡めたらいいんじゃないかな」との思惑通りの展開に。四球に乗じて、機動力も駆使して得点を奪う。「2番・周東」の意味はそこにあるようだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)