リチャードは「1軍でできると思っている」 小久保2軍監督のシーズン総括ノーカット

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:上杉あずさ】

「今年テーマに掲げたのは『強さ』というのを選手に求めていた」

 ソフトバンクの2軍は3日、タマスタ筑後で中日に3-0で勝ち、ウエスタン・リーグの全日程を終えた。今季最終戦はフレディ・ガルビス内野手、真砂勇介外野手の適時打で先制すると、大竹耕太郎投手が4安打完封勝利を飾った。この日の試合前に小久保裕紀2軍監督が、就任1年目のシーズンを総括した。小久保2軍監督の一問一答は以下の通り。

――2軍監督としての最初のシーズンを振り返って。
「感想としてはなんか6か月、めちゃくちゃ早かったなっていうのが1番の感想で。(中日の)片岡監督と話したんですけど、やっぱり若い選手と課題克服のためにああでもないこうでもないってやっていたら、こんなに時が経つのは早いのかなって言うのは感じましたね」

「今年テーマに掲げたのはやっぱり『強さ』というのを選手に求めていたんですよね、上手い選手って長年したら上手くなるんですよね。ただ、そもそもの『強さ』というのは、若い子がプロに入ってきて2、3年の時にしか身に付かないんですよ。だんだん、それは手先の器用な技術に走ってしまうことになってくるんで、もともとの強い球を投げられるとか、強いスイングできる、というところはやっぱりまだまだこれから言い続けないといけないなと思います」

「ここから1軍に行った選手の共通点としてはやっぱりブレない目標、自分はどういうプレーヤーになって、どこで勝負するんだという、やっぱり強い意志を感じることができたので、そこを続けて求めていかなきゃと思いますから、達成感はあまりないですね」

――終盤は2軍も優勝争いを経験した。選手の様子は。
「めちゃくちゃ緊張していました。2軍といえでも負けたら終わりというか、この阪神戦、最後の3つが勝負というときに今年まだ1回も言ってなかったけど、初めて『今日から3日間全部勝て!』という話をしました。野手は比較的そこまでではなかったけど、同点で出てくるピッチャーね。やっぱり普段とは違う緊張感の中で投げてるなって分かりましたけども、1軍のこの夜の試合を考えたら2軍の優勝争いでビビっててどないするんや、と……。でも2軍の中での経験としては最高の経験なんで、あの1週間はいい経験ができたなと。彼らの財産としてほしいなというふうに思います」

――成長が感じられた選手は。
「野手はやっぱりリチャードかな。去年も1軍のヘッドコーチとしてリチャードを初めて見て、それから2年近く付き合ってる中で、8月以降ですね。8月まではちょこちょこ打っていたんですけど、凡退の内容ががあまりにも酷すぎて、僕は4番で起用したことはなっかったんです。打順はコーチに決めさせているんですが、吉本コーチから2軍に降格してきた時かな? 『4番で行きましょう』という提案があって、じゃあやらせようかって」

「降格してからの2か月間の彼の成長は目を見張るものがあります。その時の対戦を、相手投手の対策を立てて、その1日の4打席の振り返りを全部提出させているんですが、やっぱり書いてくる内容が全然変わってきたし、頭を使ってしっかり配球の勉強をしながら、ピッチャーと戦っているなっていうのが分かるんですよ。だから8月以降、右も左も(打率は)3割弱あって、ホームランも29本打っていて、凡退した時の内容で、もったいない打席だったなっていうのがほとんどなくなったっていうのが彼の成長だと思います」

「ピッチャーで言うと、成長じゃなく、成長させられなかったのはカーター。スチュワートですね。もう出だしから一昨日まで全く同じ。良かったのが1回か2回ぐらい。結局157キロの真っ直ぐがありながら、ことごとくやっぱり打たれる、点を取られる。1軍からも1度もお呼びがかからなかった。去年1軍にいながら、来年ぐらいはローテーションに入れそうだなと思っていたピッチャーだったんで。それはもう我々、首脳陣に責任がありますし、課題のコントロールですね、これが一向に良くならないまま終わらせてしまった。この秋どういう取り組みしようかなっていうことが投手コーチと話しています」

「成長した方で言うと……出だしの田上はもうちょっといってほしかったんですけど。1軍を経験できたことは良かったんですが、まだやっぱり100球行かないぐらいで、バタっと球威が落ちますし、体力ですよね。そこの強化はもっとしないといけないですね。ただ、彼はまだ2年目なんですけど、自分で決めたことはブレずにやれるタイプ。それが強みなんで、だからその自分で決める決め方が分からないとか、目標設定が分からないんであれば、我々がサポートしてそこを見せて答えをこういうふうに導いてあげると、やれる子なんで過程を。だから楽しみにしています」

――若い選手が1軍で活躍するために必要なこと。
「個々によって違うんで。増田とかは自信を掴んで帰ってきたので、コロナでレギュラークラスが戻っていったので、当然それで落ちてきたんですけど、感想を聞くと『思ったよりやれました』と手応えを感じたって言う選手が多くて。野村大樹にしても、正木はそのまま1軍にいますけど、2軍で取り組んできたことを1軍で出そうとして、ある程度出せて、でも、残念ながら枠の問題で落ちてきたっていう子たちのその取り組みがやっぱり変わりましたよね。この選手に勝たない限り1軍の枠は空いてないんだってなると、明らかにそういうヤツよりも上へっていうライバル心がはっきり1軍に行く前とは全然違います」

「逆に結果が出なかったリチャードに関しては、やっぱり宮城対策で、4打数4安打で急にパッと呼ばれて行ったんですけど、でもいつ代えられるか分からない中でこっちでやってきたことじゃない、目先の1本のヒットを打ちに行ってます。それはもう提出、書いてきたのでよく分かるんで。だから彼の場合は変えられないという、それは自分で掴まないといけないけど、今年はそこはできなかったんですけど、ある程度やっぱり固定で使ってあげることによって今の状態であれば、1軍で僕はできると思っています。そのチャンスをもらえるかどうかってのが大きい」

――秋は監督としてどのようなテーマでやる。
「まず今日でシーズンが終わったら、フェニックスの移動まで1週間ぐらいあるので、まだ記憶が鮮明なうちに今シーズンの自分の振り返りをまず選手に出させて、コーチたちが見た選手のこの秋の課題と選手本人が思っている課題が一致してるかどうか。できれば、選手がやりたいことを重点的に。それはただ一方通行ではなく、まず選手から出させようと思って。それを試合後に話をして。あとフェニックスの取り組みとしてはやっぱり”野球自体を覚えさせる”ということを目的にしてもいいと思うんで」

「例えば、内野の守備体系は今日はリチャードが全部決めろ、と。それは松山さんの提案でそういうことを今までやってきたらしいので、今日は川原田の日、1アウト一、三塁でポジショニングをどうするかっていうのを、ベンチじゃなくて選手同士で決めさせる。その時のリーダーを決めるって言うことをやっていこうかなと。あとは僕がヘッドコーチになって、監督を横に置いて指名して、サインを口頭で言わせて、僕が井出コーチにサインを出す、監督体験をしてもらう」

――投手陣のテーマ設定は。
「ピッチャーの場合はもう個々ですね。確定ではないんですけど、まだ1軍も順位は確定していないんで。そこにまだ持って行かないといけない選手もいるので。ピッチャーの場合はその実戦で通用するレベルを維持しないといけない選手もいる。それは選手を見てやっていきたいですね」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)

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