堪えきれず号泣「なにかグッときた」 松田宣浩、ラストゲーム後のコメント全文

ソフトバンク・松田宣浩【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・松田宣浩【写真:上杉あずさ】

「17年間できたことに関しては感謝しないといけないし、喧嘩別れで出て行くわけでもない」

 今季限りでソフトバンクを退団する松田宣浩内野手が1日、ウエスタン・リーグの中日戦でホークスでのラストマッチを終えた。試合後にはセレモニーが行われ、駆け付けた多くのファンを前に感謝の気持ちを伝えた。小久保裕紀2軍監督、工藤公康前監督から花束を渡され、感極まって涙を流す場面も。その後、報道陣の取材にも対応し、球団への感謝やセレモニーを終えての熱い想いを語った。

――セレモニーを終えて……
「引退じゃないんですけど、退団スピーチを言いましたけど、退団する1人の選手にこのような舞台をいただいたので、やっぱり感謝しないといけないと思うし、17年間、一生懸命やってきてよかったと思います」

――思わず涙した。
「スピーチのときから来そう(泣きそう)だったんですけど、引退じゃなく退団なんで、自分で決めた決断だったんで、そういった意味では涙ではないなと思ったんですけど……。小久保さんにね、花束を渡していただいてやばくて、工藤さんも忙しいのに来ていただいて、試合前から『今日はお前の姿をしっかり見る』っていうことを言っていただいて。小久保さんとはですね、もうずっと現役のときからとか、侍のときとか、あとずっとホークスでお世話になってるし、そこでまず『やばい僕は小久保さんに花束をいただけるんだ』と思った。工藤さんが来られて、花束を渡していただいて、やっぱりこれまでやってきたことに、何かこうグッときましたね。でも一生懸命やってきたからこそ、急に出たんかなと思います」

――工藤さんからは声をかけられた。
「とにかく自分で、次のステップで本当に切り開いてというか、まだまだやれる、そう思ってるから、とにかく自信持ってやってくれと。本当そういうお言葉をいただいたんで。2015年から去年まで、ずっと主力としてやってきたときの監督さんでもありますし、そういう方に言っていただいて本当に感謝しかないです」

――最後の試合でヒットが1本出た。
「そうですね、3打数1安打だったんですけど、やっぱりヒットを打てるか打てないかって全く変わってきて、ホームランではなかったんですけど、ヒット1本打ったってことに対して、次の舞台へのステップだと思いますし、それがヒット、次は長打、ホームランになるんで。本当は全打席打ちたいっていう思いで常に打席に立って、ずっと練習しているんですけど。やっぱりそういう意味では1本でも打ててよかった。次のステップに臨める1本。ああいう1本がスタートじゃないかなと思ってます」

――ヒットでも「熱男パフォーマンス」を。
「本当にもうホークスにお世話になってますし、構想外という形になってこの決断になったんですけど、それでも17年間できたことに関しては感謝しないといけないし、別に喧嘩別れで出て行くわけでもない。本当にそうだったら、今日みたいにこのような舞台なんて開いていただけることなんてないと思うし、でも本当、小久保さんにも球団の方にも本当に最後はしっかり送り出してあげようという言葉も言っていただいたんで、本当に自分がびっくりするぐらいで、良かったと思います」

――ヒットを打ったら熱男をすると決めていた。
「いやもう何も覚えていないんですけど、結局はもう自分がやってきたことって、結局はあれが凡打になっていたらできないし。若い頃からそういう打ったら気持ちが出るタイプだったので、そういうところで無意識に出たと思います」

――試合前には若い選手たちにも話を。
「そうですね、はい、それはもう今度1軍に挨拶に行かせてもらったときも同じことを言おうと思うし、それを武器にする選手っていうのは、気付いたらそうなると思う。こんな感じでしたいと思います」

――今後はどこでどういう形で?
「もう当然、僕は今日までと思って、気持ちの整理はできていますので。しっかり自分でいろいろ次のステップに向けて、自分なりに場所を見つけてとか、終わったわけじゃないんで、自分でいろいろなところでやって時間を過ごして次の舞台に向けて進みたいと思います」

――こちらの球団施設は?
「使いません。一応、荷物整理とかに来るかもしれないですけど」

――ガルビスも熱男をしていた。
「これって結局、気持ちの表れなので、本当に、打ったらガッツポーズ、当たり前だと思うんで、そういう感じでできたらよかったんじゃないかなと思います」

――今日はご両親も来られていた。
「はい。本当に急きょ来る、本当は来ない予定だったんですけど、僕的には退団で出て行く、引退じゃないので、少し喋ってさらっと終わると思ったんですけど、やはり球団の方の配慮であったりとか、17年間やってきたことに関しては変わりがないってことをおっしゃってくれて、それはやっぱり形として表現しないといけないということも言われましたんで。そこはドームじゃなくて、この舞台を選びましたけど、そこで盛大にやっていただいたので良かったし、逆に、だからこそ親も呼ばないといけないと。昨日、兄ちゃんの説得で、お兄ちゃんは子供の少年野球で来れなくなったんで、両親だけでもちょっと行ってくれっていうお願いで来てくれたんで、まあよかったと思います」

――セレモニーでは王会長への思いも。
「今日はもう上のゲームに行かれてるんですけど、プロに入った時の監督さんですし、いろいろ決断のときって、本当にメジャー行くときも迷ったときも王会長の言葉があったし、今回の退団で藤本監督と喋った後に王会長とお話する機会もいただきまして、本当に素直な気持ちを言うことができて、そういうお言葉をいただきましたんで。そこは本当にありがたい気持ちと、今度お会いしたら、しっかり挨拶したいと思います」

――セレモニーの最後にも熱男が出ましたけど、やろうと思っていた。
「本当はもう場内一周して終わろうと思ったんですけど、やはりチームの皆さん、ファンの皆さん、すごい最後まで残っていただいたんで、自然と。Tシャツも着ていただいたのに、何もない形だったらやっぱ寂しいと思うし、本当に感動して涙を流してくれる選手、スタッフの方もたくさんいたので、それでは寂しいなと思ったので。やはり最後は自分の中ではなかったんですけど、最後に胴上げを5回ね、次の舞台のために『頑張れ』という思いで上げていただいて、本当に快く上げていただいたし。いつもだったら上げる立場だったので、初めて上げていただいて……。あ、優勝のときあるか。あるけど、こういう感じで上げていただいて嬉しかったし。熱男も最後やるつもりはなかったんですけど、見せようかなと思ってやりました。本当にこういう舞台、自分では想像していないセレモニーというか舞台だったので、本当に全く違った感じで良かったと思います」

――和田さんがNPB通算150勝して『松田さんと同じく野球が好きだから』と。
「本当にこの3週間、若い選手と今日までやったんすけど、野球ができて、良かったと思いますし、野球が嫌いだったらもうとっくに辞めてると思う。やるとキツいと思うんで、それをこの年齢でもやりたいっていう、和田さんもそうだし、僕もそうなんですけど、まだまだ本当、小さい頃の気持ちというか、野球しかしなかった頃の気持ちっていうのは消えてません。だから今回このような決断をしました」

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)