「野球が好きなんです」41歳・和田毅の力の源 大一番でNPB通算150勝達成

ソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】

「今でも上手になりたいとか、いいボールを投げたいとかっていう気持ちがなくなったことはない」

■ソフトバンク 5ー1 楽天(3日・楽天生命パーク)

 ソフトバンクは9月30日、敵地・楽天生命パークで楽天と戦い、5-1と快勝した。2位のオリックスが勝ったため、リーグ優勝決定はお預けとなったが、優勝へのマジックを「1」とし、10月1日の西武戦に勝てば、自力で2年ぶり22度目のパ・リーグの頂点に立つ。

 オリックスの結果次第でリーグ優勝が決まる一戦。そんな大一番で41歳の大ベテラン・和田毅投手が気を吐いた。5回まで楽天打線を2安打1失点に封じる好投。チームにとって大事な試合で、NPB通算150勝の節目の勝利を挙げ「個人的な目標ではありましたけど、今季最後の登板であろう日に、しかもこの大事な試合で達成できたのは嬉しいですし、いい日になったなと思います」と表情を緩めた。

 初回を3人で片付けると、3回まではパーフェクトピッチング。4回に渡邊佳に右翼の頭上を襲う大飛球を打たれ、この際に柳田がフェンスに後頭部を打ちつけて交代するアクシデントが起こった。球場が騒然とする中、続く浅村に左前適時打を許して失点。ただ、ここで踏ん張り、後続を抑えた。役割として課された5回を投げ抜き、笑顔も浮かべた。

 今オフも年下の選手が現役引退を決める中で、41歳になっても進化を続けている。チームの方針で5回以上を投げることは今はないが、今季は自己最速となる149キロもマーク。この日で、石川、大関と並ぶチーム3番目となる7勝目を挙げた。今もなお、尽きない原動力はどこにあるのか。

「野球が好きなんですよね、多分ね。今でも上手になりたいとか、いいボールを投げたいとかっていう気持ちがなくなったことはないので。それがなくなった時はもう多分辞める時だと思います。まだそういう気持ちが、マッチと同じように野球への情熱というか好きな気持ちは衰えていないっていうのが今でも、この年齢になってもプロの世界で野球をやらせてもらっている1つの要因ではあるかなと思っています」

 奇しくも今季限りでの退団を決め、他球団での現役続行を目指すことにした松田宣浩内野手と同じく「野球が好き」を成長の源に挙げる和田。ベテランになってもなお、プレーに情熱を傾けられる理由は皆同じなようだ。

 150勝の記念のボードは、優勝に備えて仙台入りしていたダイエー時代からの同僚・明石健志内野手に手渡された。「最後は笑って終われるようにしたい」と、松田と明石の有終の美を望んでいた和田。ベテランの思いが叶う瞬間がもう目の前に来ている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)