鷹・松田宣浩、26分間の退団会見ノーカット「ホークスは人生そのもの」

会見に臨んだソフトバンク・松田宣浩【写真:藤浦一都】
会見に臨んだソフトバンク・松田宣浩【写真:藤浦一都】

退団に至った経緯、決断の理由、チームに対する思いなどを語り尽くした

 ソフトバンクの松田宣浩内野手が28日、本拠地PayPayドーム内で会見を行い、今季限りでの退団と来季以降の現役続行の意向を表明した。球団から来季の戦力構想から外れていることを伝えられて、進退を熟考。野球への情熱は衰えることなく、退団することを選択した。退団会見で松田が語ったコメント全文ノーカットは以下の通り。

「お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。福岡ソフトバンクホークスのユニホームを着てプレーするのは今シーズン限りとなりました。現役続行を希望して退団することをここにご報告させていただきます。ホークスでは17年間という長い間でしたが、たくさんの方と出会い、たくさんの方に支えられ、ホークスでプレーすることができました。本当に17年間感謝の気持ちいっぱいです。ありがとうございました」

――今回、退団という結論に至った経緯をお聞かせください。
「9月に1軍登録抹消の前日に、球団の方から来季の構想外っていう話を聞きました。その中で、自分としては、まだまだ1軍の力になりたいという思いもありましたが、自分の気持ちではやはりモヤモヤした気持ちであったりとか、中途半端な気持ちで1軍で戦うっていうのは、やっぱりチームメイトに対して迷惑かかるんじゃないかと思い、報告を聞いた次の日に藤本監督とお話をする機会をいただき、現役引退するか、退団して現役を続行するか、もうこの選択の二択しかありませんので、それをゆっくり考えさせていただく時間をいただきました」

「その中で、約3週間ですが、若い選手と暑い中、一生懸命野球して練習を頑張ってきました。その中で気づいたことが、やはり自分は野球がまだまだ大好きということと、まだまだ体が元気ということ、あとはやっぱり大好きな野球を自分から今回辞めるという決断には至らなかったということがありまして、11連戦が終了した次の日にですね、球団の方に現役続行を希望してホークスを退団させていただきますというご報告をさせていただきました」

――退団決断の最終的な時期は。
「そうですね、聞いたのは、先ほども言いましたけど1軍登録を抹消になった前日で、そこから約2週間ほど、11連戦の最終日に自分で決めて、決心してご報告させていただきました」

――決断を最初に伝えられたのは?
「そうですね、チームも本当にペナントレースの終盤ということで、なかなか誰にも言う機会もなかったんですけど、まずはやはり妻にですね、現役引退と現役続行と、この2択しかない選択肢の中で、自分は現役を続行して、ホークスを退団するっていうことを伝えました」

――その時、奥様は。
「まだまだ野球が好きな内はとことん野球をしてくださいという、本当に温かい言葉をもらいましたので、本当に感謝していますし、これからですね、退団するんですが、もしチャンスがあれば、そこで思い切り野球がしたいという気持ちでいっぱいになりました」

――このタイミングで発表し、そして会見に臨まれた理由は。
「そうですね、本来構想外だったり戦力外の通達というのは、先ほど広報さんも言われましたが、今年に関しては10月3日という期限があります。それではやはり、長年ファンの皆さんに自分のプレーを見ていただいたんですけど、最後の姿を見せることなくホークスのユニホームを脱いでしまう、これだけはですね、やめたいなという思いがありまして、今回球団をはじめ、NPBであったり、選手会の皆さんに動いていただいて、このような形でご報告させてもらうようになりました」

――チームメート、首脳陣に報告は。
「そうですね、抹消になる時にですね、何人かの選手には伝えて。でもペナントレース真っ最中なので、自分の抹消、ただそれだけでチームの雰囲気を悪くしたくないという思いもありましたので、ごくわずかな選手だけに伝えて帰りました」

――ホークスで現役を全うすることに悩みも。
「そうですね、当然、17年前にプロに入って、ホークスで活躍して、頑張って、終わるっていうのが本当に理想だったと思うんですが、筑後に行って練習をしていた中で、やはり現在39歳なんですけど、やはり40歳までプレーをしたいという気持ちが自分の気持ちの中で強くて。思い出したのが、若いときにですね、宮崎キャンプで当時のコーチから、とにかく若い時期に40歳までプレーをするために今、とことん練習して、技術を身につけよう(と言われていた)。その時の練習が本当に今でも一番きつい思い出だったので、守備練習したときに、味といえばやっぱり泥の味だった。やっぱり40歳までっていうとあと1年なので、そこも引っかかった今回の原因になります」

――今季の成績については。
「キャンプ、オープン戦と自分でも今年にかける思いっていうのも強かったですし、過去2年間がなかなか思うような成績をあげられていなかったので、今年はキャンプ、オープン戦から飛ばして、まずは開幕スタメンを勝ち取って、そこから頑張ろうという思いがありました。開幕スタメンっていうのは、勝ち取ることができたんですけど、その後なかなかコンスタントに成績をあげることができずに、やはり自分でも不甲斐ない結果に、この1年は終わったと思うんですが、まだまだ先ほども言いましたけど、大好きな野球をする気持ちっていうのは、消えてませんので頑張っていけたらいいかなと思ってます」

――先日ファームの試合で今季初ホームランを打ちました。
「本来なら1軍の舞台で、何本も打たないといけないと思っていましたが、結局、今年1軍でホームランゼロ。プロに入ってから初めての成績になりますし、でも2軍で最後に1本打てたことが、やっぱりホームランの感触であったりとか、ダイヤモンドを一周する感触であったりとか、熱男をする喜びだったりというのを感じることができましたので、何とかですね、来シーズン以降もそういうチャンスがあれば、打っていきたいなという今はそういう思いがあります」

――2軍の試合で松田選手を送り出す機会も設けられる。
「10月1日の土曜日を、ホークスでの最後の試合という形で球団の方に用意していただきましたので、まずは10月1日の土曜日の試合に向けてしっかりと練習して、いいところをですね、見せられるように準備して行けたらいいかなと思います」

――ホークスの思い出に残る場面を挙げるとすると。
「17年、本当にプロ1年目に入ったときを思うと、すごいレベルの高いところに入って、もうこのままじゃ通用しないなという思いでスタートして、1年目から本当に練習をたくさんして、ここまで17年間やってきて。まず本当17年間、ホークスのユニホームを着てプレーできたことが一番大きいことじゃないかなと思っています」

――2000本安打など、節目の記録への思いというのもあります。
「ホークスで数多く試合に出させてもらって、節目の記録まであとわずかというところまで来たんですけど、2000本安打に関してはですね、特に意識はなくて、とにかく野球がしたい思いが強いということ。打点に関してはですね、本当にあと9打点だったので、今シーズン中にできれば、また違う感覚で感じるものがあったんじゃないかなと思ってますんで、何とかチャンスをいただいて、1000打点できたら幸せかなと思います」

――今後は他球団のオファーを待つ。
「そうですね、まだ何もない状態で、本当に今日、退団会見をさせていただいて、今日からのスタートだと思いますので、まずはですね、チャンスを与えてくださる球団があれば、先ほども言いましたけど、そこで大好きな野球をとことんやる、ただそれだけです」

――トライアウトに参加することも?。
「いや、それは考えていなくて、まずは本当に2軍に落ちてからしっかり練習もできましたし、試合にも出ましたし、体も痛いところもないし、元気な姿っていうのを見せられましたので、とにかくしっかり待とうかなと思っています」

――独立リーグの選択肢は。
「いやそれも今回に関してはですね、もうNPBのみということで、待ってます」

――10月1日以降の練習はどういった形で。
「まだ今日、こうやって会見をしたので、10月1日以降の話っていうのは正直な話、まだしていませんが、自分の中ではやっぱり自分で場所や時間を見つけて、しっかり準備して備えたいなと思います」

――1軍は優勝争いで非常に激しい争いの中にある。
「本当に残り数試合となって、優勝も間近となってきました。とにかくですね、1日でも早くソフトバンクホークスが優勝する、それをしっかり見届けたいなと思います」

――ホークスは松田選手にとってどんな存在ですか。
「17年もこのユニホームでプレーさせていただいたので、プラス福岡の街でずっと野球してきましたので、もう人生そのものだと思ってます」

――ファンへのメッセージをお願いいたします。
「はい、今回はですね、このような形で現役を続行を希望し、退団という形になりましたが、やはり17年という長い間、ファンの方には良いときも悪いときも応援していただきましたし、やはり成長したのもファンの皆さんがいたからこそだと思っています。ホークスのユニホームを着るのもあと何日かしかないですが、本当にこれまでやってきたことを、しっかり振り返って、10月1日にいいものを出していきたいなと思います」

――他球団に行ってホームランを打ったら熱男はする?
「はい、考えますけど、ホームランを打ったら、自然とこの前の2軍の試合でもそうだったんですけど、やはり自分としては気持ちが前面に出てしまうので。球団は変わるかもしれませんが、2015年から熱男という言葉を使わせていただき、本当に成長したと思いますので、もしチャンスがあるんだったら、違うユニホームでも、できたらいいんじゃないかなと思います」

――ファンはまた福岡に戻ってきてほしいと思っている。
「はい、実家がですね、滋賀県なんですけど、中学校までっていうことはもう15年しか住んでいなくて。プロに入って、福岡でもう17年っていうことで、一番長く住んでいるのがここ福岡なので、やっぱりすごい好きな街なので、そういう気持ちはいつまでも持っていけたらいいかなと思います」

――17年間、一番大事にしてきたことは。
「ボールを遠くに飛ばすであったりとか、早く走るであったりとか、守備が上手いとか、そういうのはなくて、やはり大好きな野球を元気いっぱいするっていうことを若い時からやっていましたんで。今でも元気を出してやるっていうことは、若い選手にも負けていないと思いますので、そういうことをずっとやっていました」

――その上で残せたものは。
「17年間で、今でも街を歩くと松田宣浩っていう名前を呼ばれるよりも『熱男さんですか』『熱男の人ですよね』って言われますので。本当にそれが自分の中では、プロ野球選手になって良かったなというか、福岡で熱男というスローガンをですね、自分のものにできたっていうのも一番良かった点じゃないかなと思っています。今回こういう決断に至りましたが、本当に熱男という言葉は、僕の中では一番大事な言葉かなと思っています」

――こういうプレーを見せられるというのはありますか。
「来シーズンで40歳になりますし、そういった意味でもバリバリ、レギュラーを狙いにいくかっていうと、そういう立ち位置でもない。やっぱりこれまで17年間で経験したことっていうのは、本当に他のプロ野球選手よりも、たくさん良いことも悪いことも経験させていただいたと思っていますので、そういうのをやっぱり還元できたらいいなというか、そういうベテランが重要だなという、ベテランなのに普段と変わらず元気出して野球をやる、そういうことを必要としてくださるところがあれば、本当に頑張ってそこにいきたいなと思ってます」

――藤本監督が精神的支柱だと話していた。
「野球界の中では、本当に年齢も上の方になってきましたし、精神的支柱っていうのは、自分ではあまり意識しないんですが、やっぱり無意識にそういう形になっていくっていうのも、ユニホームを着たらスイッチが入りますし、そういうところは自分の持ち味というか、武器なので、そういうとこを今後見ていただけたらありがたいかなと思っています」

――息子さんもホークスジュニアに入りました。
「そうですね、息子も小学校6年生になり、先月、一生懸命、自分の力で頑張ってホークスジュニアの選考会を受かって、今、本当必死に練習してるんで。やっぱりそういう意味では、引退と、退団して現役続行、2択の中ではやはりまだまだ父親として野球してる姿、プロ野球選手という姿を見せてあげたいなっていうのも今回の決断の一つでもあります」

「あとはやっぱり息子にですね、本当にホークスジュニアに選ばれてから、野球への対する情熱っていうのが、すごく上がってまして、家でもバットを振ったり、体を鍛えたりとか、これまでホークスジュニアに選ばれていなかった時はやらなかったことをやっているんで、そういった意味ではしっかり父親としてもサポートしてあげたいと思うし、先ほども言いましたけど、父親としてまだまだプロ野球選手としてユニホームを着ている姿を見せてあげたいなと思います」

(鷹フル編集部)