「ショックというより怖い」精巣がん手術から復帰した大関友久が吐露した胸の内

ソフトバンク・大関友久【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・大関友久【写真:藤浦一都】

精巣がんの手術から復帰し、2イニングを無失点に抑えた大関

 ソフトバンクの大関友久投手が25日、本拠地PayPayドームのロッテ戦で復帰後初登板を果たした。10点リードの8回にマウンドに上がると、2回2安打無失点。左精巣がんの手術を乗り越えて立った久々の1軍マウンドで好投し、スタンドからの大きな拍手を浴びた。

 8回、大関友久の名前がコールされると本拠地が大きな拍手に包まれた。7月30日の西武戦以来となる1軍登板を果たした大関にもこの拍手はしっかりと届いていた。「とても温かい気持ちというか『待っていていただいた』と思って、しっかり投げようという気持ちになりました」。ファンの思いに応えるように2イニングを無失点。試合後には「自分が思っていたよりも早く戻って来ることができたし、リハビリからここまでつないでくれたスタッフの皆さんや首脳陣の皆さんに感謝したい」と語った。

 同所に違和感を感じ、大事を取って病院で受けた検査でがんの疑いと診断された。最初に診断結果を聞いた時のことを「ショックというよりは怖いという思いの方が大きかった」と明かす。先の見えない不安。家族、医師の支えで前を向いた。「お医者さんから『命は大丈夫そうだ。このままいけば経過観察で済むよ』と聞いて、そこからは復帰に向けて集中できると思いました。それまでは先が見えない状況だったので、考え過ぎる時期もありました」と正直な気持ちを吐露した。

 入院中は家族や地元の友人とコミュニケーションを取る機会が増え「ちょっと人と話したくなっていたのかもしれません」と笑い、王貞治会長からのメッセージや藤本博史監督からの電話もあったと明かす。復帰登板はいきなりの2イニング登板。「10-0の場面でも緊張しました。何とかゼロで抑えられたという感じなので、もっと細かい調整をしたいですね。もう少し調子を上げないといけないし、上げていくだけの自信はあります」と力強く語っていた。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)