小久保2軍監督も認める勝負強さと成長 野村大樹が1軍再昇格切符を掴んだ理由

ソフトバンク・野村大樹【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・野村大樹【写真:藤浦一都】

ファーム降格後は9試合で打率4割超え、7打点をマークしていた

 ソフトバンクの野村大樹内野手が20日の日本ハム戦(札幌D)から1軍に再昇格した。9月3日に出場選手登録を抹消されて以来の1軍で早速、7回1死二塁の場面で代打で出場。快音こそ響かなかったものの、一塁へのゴロで走者を三塁へと進める進塁打を放った。

 8月下旬。新型コロナによる離脱者が相次ぎ、チームは緊急事態に陥った。野村大、増田珠内野手らファームで共に汗を流してきた同僚たちと主力不在のチームを牽引した。主力の復帰に伴い、降格になったものの、藤本博史監督も「ごめんなさいしか言えない」「1番大変な時に勝ち越せたのは、野村大樹とか増田とか谷川原、正木、この辺のおかげ」とその働きを評価していた。

 指揮官は登録抹消の際にも、野村大に対して「今の状態を維持してくれ、これ以上にしてくれ」「大樹はチャンスに強いんで、右の代打で使えるっていう所もある」と言葉を掛けた。期待に応えるように野村大は2軍で状態を維持。そして、本当にシーズン最終盤に“代打の切り札”として再び1軍に呼ばれたのだった。

 苦しい状況の中でチームを救った野村大と増田。今回、その2人のうち、野村大が1軍の切符を掴んだのには理由がある。野村大は2軍降格後、9試合に出場して22打数9安打と打率は4割を超え、7打点をマーク。野村大自身が「チャンスに強い選手に」と意識して試合に臨み、その通りに結果を出しており、小久保2軍監督も「本当にチャンスで打っていたんで」と推薦した。

 また、1軍からの要望は“右の代打”候補だった。現状、スタメンに並ぶメンバーはほぼ固まっており、チームとしてはここ1番で送り出す切り札を求めていた。野村大か増田か。「だったら大樹ですかねという話になって行きました」(小久保2軍監督)。勝負強さが持ち味の野村大に白羽の矢が立つことになった。

 また、指揮官は野村大の守備面での成長にも目を細めた。「スローイングは実際良くなったんでね。ちょっとサードを守らせても大丈夫かなくらい。結構、安定はしてきて、今年の春先より全然良くなっている」と評価。課題とされてきた守備面でも成長を感じさせている。

 残り試合も少なくなり、リーグ優勝、ポストシーズンに向けて1試合、1打席の重みは増す一方。野村大の勝負強さはこの最終盤にこそ、1つカギになるかもしれない。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)