1安打無失点の板東を6回途中でスパッと交代 鷹ベンチを決断させた左腕の存在

ソフトバンク・板東湧梧【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・板東湧梧【写真:藤浦一都】

当初、藤本監督の考えは「5回くらいまで行ってくれたら」

■ソフトバンク 7ー2 日本ハム(19日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは19日、本拠地PayPayドームで日本ハムと対戦し、7-2で快勝した。柳田悠岐外野手が先制の2点適時打を放つなど4打数4安打と打線を引っ張ると、先発の板東湧梧投手が6回途中1安打無失点と好投。740日ぶりの白星、先発としてはプロ初勝利をマークした。首位の西武が敗れたため、再びその差は1.5ゲームに縮まった。

 救世主のごとき快投だった。2年ぶり、今季初めて先発のマウンドに上がった板東が完璧な投球を見せた。初回の立ち上がり。「入りでいい球を投げられて、今日はいけるぞと思って、開き直って投げました」。13球で3者凡退に打ち取ると、3回までは1人の走者も許さないパーフェクト投球でチームに流れを呼び込んだ。

 2点の援護をもらって迎えた4回に死球と安打で1死一、二塁とされたものの、今川、近藤を打ち取りピンチを脱出。5回までわずか1安打に抑えた。試合前、藤本博史監督は「5回くらいまで行ってくれたら」と話していたものの、6回もマウンドに。中島、野村を打ち取って2死としたところで、藤本監督は嘉弥真へのスイッチを球審に告げた。

「球数もそんなにいってなかったと思うんで、いけるならいきたかったですね」。試合後、板東は笑い混じりにこう語っていたものの、ベンチとしては思惑通りの交代だった。指揮官は中継ぎで投げてきた板東の今季初先発ということで「3回、4回ぐらいで考えていた」と明かす。長くても5回まで投げてもらえれば、6回からは継投策で逃げ切りを図るプランだった。

早い段階での継投も考えた中で「期待以上」の好投

 そんなベンチの期待を遥かに上回る5回1安打無失点。ここで首脳陣は継投を考えた。「ピッチングコーチとも、なんぼ良くても5回で代えようと。6回のアタマから田中正義でいこうという話も出ていたんですよ」。6回の日本ハムの攻撃は9番の中島から。1番には右の野村がおり、2番、3番は清宮、上川畑と左打者が続く。ベンチが描いたのは、左の並ぶところまでは板東に任せるというプランだった。

 藤本監督は「嘉弥真を2番、3番のところ行こうか、あるいは近藤のところで1人行こうかとか、そういうのを考えながらやっていた」と語る。7回以降は勝利の方程式がいる。左キラーの嘉弥真に託すなら、清宮を迎えたタイミング。ベンチの腹は決まった。この決断を後押ししたのは「左のワンポイントで本当に完璧に抑えてくれている」という、嘉弥真への絶対的な信頼度があるからだった。

 板東の投球について「5回以上投げてくれたってことは期待以上ですね」と手放しで称賛した藤本監督。投手交代のタイミングについては「ちょうど板東の替え時にしたら、今年初先発でプレッシャーの中で投げてくれて、疲れもあった中でいい頃合じゃないかなと思いましたけどね」。球数74球での交代。確かに早く映ったかもしれないが、2年ぶりの先発のプレッシャーと疲労を考慮しつつ、勝つための最善策として決めた継投だった。

 6連敗中だった日本ハムを破っての大きな1勝。再び西武との差は1.5ゲームに縮まった。「当然、次(の先発)も考えてますよ。この後11連戦というところもあるし、その前に入ってくる可能性も出てきますよね、今日ぐらいのピッチングをしてくれたら」。台所事情が苦しい中で出現した救世主。勝負の後半戦で板東が大きな鍵を握るかもしれない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

KEYWORD