「ここで掴んでくれたら…」昇格リチャードへの期待は? 藤本監督の試合前の一問一答全文

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

悩ましいポジションの問題「使えるとしたら、サードだけ」

■ソフトバンク ー オリックス(12日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは12日、本拠地PayPayドームでオリックスと対戦する。11日までの敵地ロッテ戦は3連勝。移動ゲームとなる一戦に向け、リチャード内野手が黒瀬健太内野手に代わって1軍に昇格した。2軍で4試合連続本塁打を放つなど、状態を上げていた期待の大砲の昇格理由を藤本博史監督が語った。指揮官の試合前の一問一答は以下の通り。

――リチャード選手が合流。
「調子がいいから上げただけよ。2軍の選手で状態がいいというのはもうみんな上げますよ。上げてすぐ使いますよ。長いこと打ってくれれば、長いこと使えるんだけどね、残り47試合で、やっぱり長くは体験はさせられないんで。リチャードは何回も行き来してるわけだから、状態いい時にここでポンとつかんでくれたらレギュラー取れるわけやから」

「そんなにチャンスはないですよ。世代交代と言っても、本当に少ないチャンスをものにせんと。川瀬とか、柳町でもそうだし、試合に出られているわけじゃないですか。打てないのに、ずっとチャンスやるわけにはいかないでしょ、他の選手もいるわけだからね。でも、今の状態なら打てるんじゃないですか」

――何人か調子がいい選手がいる中でリチャード選手。
「調子がいい選手って真砂とか中谷? 誰と代える? こっちもこっちでメンバーいるんだからね。どこで使うの? シミュレーションしてハマった選手を呼ぶんですよ。今(ポジションで)空いているところってどこですか? 空いてないけど、使えるとしたらサードだけでしょ。晃も今週は4割打ってるし、そういうところにハメられないから。やっぱりそこにハマってくる選手を状態良く上げていくのが普通じゃないですか」

――今の状態の良さはどの辺りから来ている。
「映像を見る限り、今までは自分でココって決めたところしか振らなかったのを、例えば真っ直ぐ待ってて、半速球で浮いてきたところにもスイング入れ出してるからね。あ、そこは変わったんかなあと。ツボに来たら打てるけど、1軍ではツボに投げてくれないからね。だから浮いてきた、ストライクゾーンの高い球は全部行け、と言っている。それが1軍では手が出せないような状況だった。前回2軍に落ちてからは、そういう球をどんどん振りにいっているんで、いいんじゃないかなと思いますけどね」

――先発は杉山投手。
「万全の状態というのが怖いね。移動してきて投げた方がゲーム作ってくれたからね」

――具体的にどのあたりを期待。
「もうゾーンの中で勝負することだけですよ。あれだけの強い球を投げるんやからね。バッター有利のカウントにしないことですよね。バッターって打ち損ねもあるわけだから、あれだけの強い球で先に追い込んだら、自分で勝負できるわけじゃないですか。ボール先行するもんやから、この間の楽天戦なんか全員真っ直ぐ待ちだったからね。変化球なんか頭にないから、真っ直ぐを打ち返そうとしかないから。それをうまく利用するためには遅いカーブでもスライダーでもいいから、それでストライクを取れるようにならないと」

「それがボールになっていたら、結局狙われるよね。手出さないもん。ど真ん中におそらく変化球投げても打たないよ、前回の楽天はね。今日のオリックスはわかんないけど、まずは先に自分が相手を追い込むという形で、そこから勝負するという。初球真っ直ぐをど真ん中に投げたら打たれるだろうけど、そこで半速球、カーブとかスライダーを投げてね。アイツのフォークなんか140そこそこ出るわけだから、落ちないと真っ直ぐと同じ感じで打たれるじゃない。それなら緩急使ったピッチングできて、ストライク先行できたらゲーム作ってくれると思いますよ」

――1軍に来て、なかなかパフォーマンスを出せない選手がいるのはなぜでしょう。
「真砂の場合は分からんね。本当に2軍で無双してるのに、1軍に来たら0割5分か6分やからね。リチャードの場合はホームランも出てるからね。だから2軍と同じような形で入ってくれたらいいんじゃないかなと思いますよ。正木もね、昨日満塁ホームラン打って、いい状態だけど、今、外野で柳町も打ってるし、周東も打ってるし、これで三森が帰ってきたら、本当に嬉しい悩みになるんですけど、そうなったときに空いてるポジションがなくなってしまうよね。これでジュリ(グラシアル)も帰ってくるからね」

――緊急事態を超えているという中です。
「野手の方は、いい形で戻ってきてくれるんですけど、ピッチャーの方はね。千賀なんか9月まで投げられない予定だから。11連戦とか7連戦のところでピッチャーが足らないというところは、そこに誰を当てはめるかとか、その辺は頭の痛いところよね」

――8月は苦しい台所事情の中で3連勝で帰ってこれた。
「個人個人が自分の仕事をしっかりやってくれたってことじゃないですか」

――1点をもぎ取る野球ができた。
「まだもぎ取れてないけどね。全部が全部もぎ取れたら、それはチームは強いよね。そんなチームまだないからさ。当然、半分は失敗するんやから、その半分の中で泥臭いくらいのスクイズとかね、ああいうので1点取れていければ、試合の流れは作れるんじゃないかなとは思います。ああいうところで失敗したら、次の甲斐のところでもスクイズできないもんね。もうあそこで失敗していたら、もう間違いなく流れはロッテに行ってしまうからね。結局は打てなかったけどさ」

――ピッチャーも穴を埋める選手が出てきた。
「中継ぎがちょっと頑張ってくれてるんでね、泉とか椎野とかあの辺が頑張ってくれてるんで。あとは先発ピッチャーが戻ってこれれば、何とか上を目指していけるんじゃないかなと思います。今はまだ食らいついていくだけです」

――移動ゲームで練習のやり方も違う。
「打たなくてもいいって言ってる。打ちたいヤツだけにして、時間も60分にして。いつもは90分取ってるけど、中で打ちたいヤツは打てばいいし、打ちたくないヤツは打たないでいい、と。とりあえず試合に万全で入れる状態に体を動かしてくれと伝えている」

――相手先発は竹安投手。
「前回、日本ハム戦で投げていたけど、左打者にもインコース狙って投げてくるし、狙うヤツはしっかり狙っていいと思う。臆することなく、普通に入っていけばいいんじゃないですか。各選手がやることをしっかりやってくれたらいいと思いますよ。明豊も勝ったしね。昨日、今宮が勝ち越しホームラン打って、今日明豊が勝って、今から天理高校が試合するけど、見といてよ。天理の監督は後輩やから。相手は長崎・海星か。ピッチャーがいいところやね」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)