鷹・高橋礼が描く完全復活への道筋 メジャー通算52勝右腕の言葉で得た“気付き”とは?

高橋礼が参考にするシンバー、ロジャースとプレーしていたチャトウッド

 リハビリ中に、高橋礼の考え方に大きな影響を及ぼしてくれた存在がいる。それが今季からチームメートとなった元メジャーリーガーのタイラー・チャトウッド投手。メジャー通算52勝の実績を誇り、昨季はブルージェイズとジャイアンツでプレーしていた。その両チームに高橋礼が参考にしているサブマリンがいる。ブルージェイズのアダム・シンバー投手とジャイアンツのタイラー・ロジャース投手だ。チャトウッドは元同僚のボールがどんな軌道だったのか、どんな打ち取り方をしていたのか、更にはスライダーの握りなども高橋礼に惜しみなく伝えてくれた。

「結構付きっきりでキャッチボールをしてもらったり、ブルペンにも最初から最後まで居てもらったり。チャトウッドはいろんなアドバイスをくれる」と感謝しきり。チャトウッド自ら「受けたい」と言って、捕手役も買って出てくれたこともある。「アンダースローなんだから、高めに浮き上がって来るボールがバッターにとって1番打ちづらいだろう」。チャトウッドに言われて高橋礼は自分の良さであった浮き上がる真っ直ぐを今一度見直すことが出来た。

 さらに助っ人右腕は大きな“気付き”も与えてくれた。それは若手たちが「アウトにすることを目標にブルペンに入っていない」ということ。打者を抑えるための練習ではなく、球速や回転数などデータにばかり気を取られているという指摘だった。これには高橋礼もハッとさせられたという。「自分も球速、球速と追い求めていましたけど、アウトにするために球速が必要なら追い求めますし、必要ないのであれば、もっと他にやることがあるというふうに思って…」。大事なのは数値ではなく「バッターの反応」だと再認識させられた。

 ちょうどリハビリ組で過ごす時間も長くなり、少し頭打ちになっていると感じていた時期だった。そんな時にチャトウッドの言葉がそのモヤモヤを晴らしてくれた。再び1軍で輝くために、今取り組むべき「明確な目標ができた」と高橋礼は言う。助っ人の言葉を胸に染み込ませ、更なる進化を遂げて躍動することを誓う。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)