藤原大翔が中継ぎ登板…首脳陣から“1軍想定”の指令 上沢直之が見抜いていた適性とは

藤原大翔【写真:栗木一考】
藤原大翔【写真:栗木一考】

5日の2軍戦で藤原大翔がリリーフとして登板

 3カードを終えて7勝2敗と開幕ダッシュに成功したホークス。さらに盤石な布陣を目指し、首脳陣はファームで新たな“一手”を打っていた。5日に行われたファーム・リーグの巨人戦(Gタウンスタジアム)。2番手として7回から登板したのが藤原大翔投手だった。春季キャンプから先発調整してきた育成の“有望株”はなぜ、中継ぎとしてマウンドに上がったのか。その能力を誰よりも早く見抜いていたのが、自主トレをともにした上沢直之投手だった――。

 先発した前田悠伍投手からバトンを受け、7回のマウンドへ。初球からいきなり155キロを計測すると、わずか5球で巨人打線を退けた。2月の宮崎キャンプから結果を残し続けている右腕。倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は当初、起用法について「先発として大きく育てたいという考えはあります」と語っていた。

 3月14日には2軍の“開幕投手”も経験した。着実なステップを踏んできた中、このタイミングで「1イニング限定」のショートリリーフを果たした真意はどんなものなのか。倉野コーチは藤原に、1軍を想定した明確な“指令”を授けていた。

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続きの内容は

2軍戦で155キロ。藤原大翔が見せた異次元の球質
上沢直之の眼力。1月の時点で見抜いていた藤原大翔の適性
千賀滉大と山本由伸に続け! “怪物級”のポテンシャル

倉野コーチが重ねる千賀滉大&山本由伸の背中

「まず先週、雨が多かったのが一番の理由ではありますけどね。でも後ろで投げてもらうことになったので『1軍で中継ぎをすると思って投げてくれ』というテーマは出しました。そういう意味でも、素晴らしい内容だったなと思いますね。映像も見ましたけど、結果以上に質の高い投球でした。出力があって、コントロールもよかったので」

 3月31日から2軍はビジターでヤクルト、巨人との6連戦に臨んだ。雨天の影響で2試合が中止になるなど、投手陣のイニング消化が順調に進まなかったという背景があった。そのうえで倉野コーチは「ちょうどいいタイミングでもあったのかなと。イニングは限られているし、(他の投手との兼ね合いで)長く投げられないのなら、1イニングを全力でいかせてみてほしいという要望は出しました」と続けて明かす。天気によって登板スケジュールが変わった中で、首脳陣は視点を変え、藤原を試す絶好の機会だと捉えていた。

 1軍は9試合を終えた時点で、ホークスの救援防御率は4.56。先発陣の奮闘で白星を重ねているが、首脳陣はブルペンの“改善点”も探し続けている。藤原の中継ぎ起用は「チーム事情がどうこう、というわけではない」。倉野コーチはそう強調しつつ「育てるための1つの方法であるのは間違いないです。そういうプランというか、選択肢があってもいいとは思っています」と認めた。一時的な処置ではあるものの、1軍を想定した起用。自然と偉大な先輩たちの背中が重なった。

「先発をする中で、ゆくゆくは千賀(滉大)みたいなイメージだとは思っています。そのプロセスにおいて、先発で投げさせ続けることだけが、スケールの大きな投手につながっていくとも思わないですし。中継ぎで経験を積んでから先発に行った方がスケールが大きくなる可能性もあるじゃないですか。千賀もそうだし、山本(由伸)投手もそうだったので。固定観念は持たずに、いろんな可能性は探しています」

 ホークスをエースとして支え、NPB通算87勝を挙げた千賀は3年目で中継ぎとして51試合に登板。山本も同じく2年目に54試合登板し、世界に通用する投手へと成長を遂げた。「極端な話、いくら調子が良くても先発ピッチャーが穴を開けずにずっと6人で回り続けたら、じゃあずっと2軍にいますかという話でもあると思う」と倉野コーチ。大きく育てるという方針のもと、柔軟な考えで藤原と向き合っていくつもりだ。

自主トレをともにした上沢直之が感じていた“可能性”

 1月には上沢に弟子入りし、沖縄で自主トレを行った藤原。20歳の若鷹が持つポテンシャルを間近で見た背番号10は「シンプルに、真っすぐは今すぐにでも通用すると思います。空振りを取れる“質”を持っています」と話していた。

 藤原に関する首脳陣の方針が明らかになる前のオフシーズン。上沢なりに感じていたのが、中継ぎとしての可能性だ。「僕は、最初はリリーフの方がいいんじゃないかなという感じがしますね。もうそれくらいの勝負はできそうだし、1イニングを全力で行く方が大翔の(持ち味が)生きてくるのかなとは思います」。どんな起用法だとしても、想像は大きく膨らむばかり。それだけ藤原が秘めるポテンシャルが大きいことは確かだ。

 2軍では再び先発登板の予定を控えているという。支配下登録を目指し、成長を続ける藤原大翔から目が離せない。

(竹村岳 / Gaku Takemura)