リハビリ組からファンへ…伝えたい近況と感謝の言葉 川口&前田悠らを支える思い

川口冬弥、前田悠伍、長谷川威展、澤柳亮太郎【写真:竹村岳】
川口冬弥、前田悠伍、長谷川威展、澤柳亮太郎【写真:竹村岳】

川口冬弥は腰痛で離脱…構想外に漏らしたまさかの本音

 11月14日でタマスタ筑後での秋季練習は打ち上げとなりました。現在はリハビリ組と「若鷹寮」の寮生を中心にトレーニングが行われています。鷹フルでは、リハビリ組で調整中の川口冬弥投手、前田悠伍投手、澤柳亮太郎投手、長谷川威展投手、河野伸一朗投手の5人を取材。現在の身体の状態や、支えになっていること、ファンへのメッセージの3点を聞いてみました。思わずファンに「会わせる顔がない」と自責の念にかられた瞬間とは……。自らの節目につけた“けじめ”、応援してくれる人たちへの「要望」など、選手たちの本音に迫りました。

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続きの内容は

・長谷川投手がユニフォーム姿を「コスプレ」と表現した真意
・澤柳投手がファンに強く訴えた「応援の要望」とは
・選手が明かす、ファンとの「最近どうすか?」な雑談

○川口投手

――シーズン終盤に腰痛を発症した。現在の状態は?
「炎症が落ち着いてきたので、コルセットも取れました。ちょっとずつ動かせるようになってきたので、投げるという面でもネットスローが解禁されたところです」

――ファンの支えを感じる瞬間は?
「リハビリ期間だけで言うと、正直難しかったです。戦力外もあったので、情けなくてファンの方にも会わせる顔がありませんでした。だけど、変わらずに応援してくれるじゃないですか。それはめっちゃ感じました」

――球団から戦力構想外と通告されてから育成での再契約を結ぶまで、ファンの反応を見ていると川口投手はこんなにも応援されているんだと思った。
「感じました、感じました。『ああ、俺ホークスの1人やったんや』って知りました。再契約の時も、戦力外になった時の反応とか……。チームはリーグ優勝して、ポストシーズンでもあんなにすごい戦いをしていたじゃないですか。でも僕自身は後半2軍にいたし、違う球団を見ているような感覚だったので。『俺ホークスで野球やっていたんや』って、ファンの方があらためて感じさせてくれました」

――ファンに伝えたいことは?
「感謝の気持ちを持って、来年もしっかり歩んでいきますので、見守っていてください」

前田悠伍と長谷川威展【写真:竹村岳】
前田悠伍と長谷川威展【写真:竹村岳】

長谷川威展は秋季練習の最終日にユニホームで登場

○前田悠投手

――9月に左肘のクリーニング手術を受けた。身体の状態は?
「投げられる距離は塁間まで伸びてきました。キャッチボールのレベルですけど、もう7、8割で投げられています。めっちゃ順調かなと思いますね。投げる制限もなくなってきたし、痛みとかもないので。このままいけば、普通にすんなりいけるかなと思います」

――リハビリ中、ファンの支えを感じることは?
「こうやって見にきてもらえることは本当にありがたいですよ。『来年頑張れ』って言ってもらえますし、応援されているのを感じます。僕は次が3年目ですし、このオフめちゃくちゃ頑張って、最初(春季キャンプ)からしっかりいけるように準備したいです」

――前田悠投手はSNSをやっていないが、ファンの声は届くもの?
「やっていないですけど、僕のファンじゃなくても球場まで来られている方はたくさんいるじゃないですか。それに、リハビリですよ? ただ練習しているだけだし、室内でできることがない人はすぐ(クラブハウスの)中に入ってしまう。それでも、ファンの方は好きな選手を見にきてくれて、僕はありがたいなって思います。その人たちを結果で喜ばせることはできると思うし、それもこの仕事のいいところの1つなので。自分のために頑張りながら、ファンの方々の存在はしっかりと意識していきたいです」

○長谷川投手

――ファンに伝えたいことは?
「本当にあれですよ。いつもありがとうございます。いい時も悪い時もあるんですけど。全部あれですね。怪我を治して、マウンドで表現できたらいいですね」

――3月に左肘のトミー・ジョン手術を受けた。近況は?
「よかったり悪かったりですね。話は尽きないですよ」

――秋季練習の最終日、背番号59のユニホームを着た。
「ちょっと恥ずかしかったですね。本当だったら着る必要もないし、宣材写真を撮った時以来に着たと思います。練習はずっとTシャツだったので。(周囲には)『コスプレ』って言っていましたけど」

――その日は、どんな思いでユニホームを着た?
「その日は別に何も決めていなかったんですけど。練習前にふと思い立って、『ああ、着るか』って感じで。(戦力構想外になったのは)仕方のないことだし、僕の中でも区切り、けじめをつけるつもりで最後に着ました」

――ファンの支えを感じる瞬間はありますか?
「リハビリって陽の目を浴びることも少ないですし、ファンの方と交流することも少ないんですけど。夏の暑い日だとか、なんでもない時に僕のタオルやユニホームを持っている人を見かけたら『応援してくれる人がいるんだな』って思えますし。そういう人たちがいるなら、復帰した姿をもう1回見せたいなと思いながら取り組めますよね」

――長谷川投手にとって、ファンとの距離感とは?
「普通ですよ。でも、サブグラウンドでポール間を走ったりするじゃないですか。その時、わざわざレフトの方まで来てくれる人もいるので。そういう時はしゃべりかけますね。『最近どうすか』って(笑)。僕はファイターズにもいましたし、それこそ北海道から来る人も何人かいる。ここまで遠征ですよ? すごい費用を使って。『北海道から来ました』みたいな。荷が重いですよね」

――そういう人とも交流する?
「もちろんです。できる限り、ですけどね。僕は基本的に、自分のタオルとかを持ってくれている人はサインを書いたり、ちょっと雑談したりしますね」

澤柳亮太郎【写真:竹村岳】
澤柳亮太郎【写真:竹村岳】

澤柳が苦しむギャップ…ファンの支えを感じた瞬間が

○澤柳投手

――昨年9月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた。今月19日にはブルペンに入った。身体の状態は?
「投げることに関しての制限はなくなったので、ある程度の球速を出せるように試行錯誤しています。ブルペンで140キロは出したいなと思いながら。今は136、137キロとかなので。武田(翔太)さんたちもスピードが出ないと言っていたのがわかりますね。『そんなもの』『最初は絶対にスピードが出ない』ってみんな言うので。1年半かけて、2年経ってやっとグッと上がる、と。もちろん焦りはありますけどね」

――今までの感覚と比較して、ギャップも感じるのでは。
「どうしても仕方のないこと。感覚も変わっているので。そこで焦ったりして、フォームが崩れる方がもったいない。『球速はいつか出る』って思っておけばいいのかなと思います」

――ファンに伝えたいことは?
「変わらずに応援してくださる人たちばかりなんです。術後、めっちゃキツかった時期があったんです。だからその時に、ものすごく助けられました。必要とされていることっていうのは、本当に頑張れる力。1軍にいた時もありがたかったんですけど、今でも変わらずに応援してくれる人がいたことで僕は頑張ってこられました。本当に、本当に『ありがとうございます』って思っています」

――――ファンとの交流も、積極的な印象がある。
「あ、伝えていただきたいことがあります! 僕はなるべくファンの方と交流しようと思っているんです。ありがたいことに、もし自分を見にきてくださっているのなら、何か僕の名前がわかるものを掲げてもらえると嬉しいです。タオルでもいいし、お金がなかったら自作のうちわとかでも。城島(健司)CBOからも『ファンサービスしなさい』って言われているんですけど、目に見えるものがあれば僕たちも背中を押される。わかりやすい“理由”にもなるし、求められていることが伝わるので。もしよかったら、そうやって一緒に交流したいですね」

○河野投手

――今年4月に左肘のトミー・ジョン手術を受けた。今の状態は?
「今7か月くらい経って、もうすぐ100%まで上げられるところまでは来ている。あと1か月くらいしたら、ブルペンとか入ってくるのかなっていう感じにはなってきました」

――キャッチボールでも強い球を投げている。
「むしろ術前よりいいくらいですね。早く投げたいっていう気持ちはあります。神経症状とかも出ることなく、やれています」

――ファンの支えを感じる瞬間は?
「まだ試合で投げられていないので、支えとかそういうところはあんまり実感できていないです。これからそういうものを感じていけたら。来年は投げられると思うので、それまでの積み立てとして自分で頑張ろうかなと思います」

――アマチュア時代のチームメートや家族に伝えたいことは?
「期待もしてくれていると思うし、その分、変にプレッシャーには捉えないように。できる限り全力で、その期待に応えれるようにしたいなと思います」

(竹村岳 / Gaku Takemura)