中村晃の欠場で突如一塁で先発 栗原陵矢が試合前に見せた“姿”…「大事なことは一緒」

セカンドアップする栗原陵矢【写真:加治屋友輝】
セカンドアップする栗原陵矢【写真:加治屋友輝】

試合前から小久保監督はベンチ外を明言

 今シーズンは“そういう年”だと受け入れるしかない。最後の最後まで、ベストメンバーはそろわない見込みだ。ホークスは25日、みずほPayPayドームで行われた日本シリーズの初戦に1-2で敗れた。気がかりなのはベンチを外れた中村晃外野手の状態だ。

 中村は練習に姿を見せなかった。試合前に取材対応した小久保裕紀監督は「ベンチを外れる。今年はそういう年なんだと思います。最後まで(ベストメンバーは)そろわなかったですね」と語った。近藤健介外野手や柳田悠岐外野手が離脱した苦しい春先を支えた背番号7。前日24日の練習では通常メニューをこなしていたが、チームは貴重な戦力を欠いたまま頂上決戦を迎えることとなった。

 一塁で先発出場したのは栗原陵矢内野手だった。大事な初戦を前にチームが直面した苦難。首脳陣はどのような判断でスタメンを決めたのか――。

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続きの内容は

栗原選手が明かす、急な一塁起用への「本音」
奈良原ヘッドが語る、スタメン変更の「舞台裏」
栗原選手が実践した、不安を消す「準備」とは

奈良原ヘッドコーチが栗原陵矢に伝えたこと

「(中村が)厳しかったら次を考えないといけないので。病院に行ったとは言っていたけど」

 そう明かしたのは奈良原浩ヘッドコーチだ。相手先発はセ・リーグで14勝を挙げ、3つのタイトルを獲得した村上。そんな右腕に対して、試合当日の午前時点では、中村を一塁で起用する予定だった。奈良原ヘッドコーチは「詳細はトレーナーが聞いてくれている」としたが、急遽スタメンを変更する事態となったのは事実だ。

ファーストミットを手に試合前から取り除いていた不安

「練習に出る前に、ヘッドに会って『クリ、きょうファースト』って言われて『はい』って答えました」

 栗原も奈良原コーチとのやり取りを明かす。試合前、ファーストミットを手にすると、バント練習用のマシンに向き合った。丁寧にキャッチングを繰り返し、感覚を確かめるように“相棒”を慣らしていく。「不安があったらいけないので、それはなくしてから試合に入っていけるようにしていました」。

 クライマックスシリーズでの一塁守備の経験はあったが、“頂上決戦”で守るのは初めてだった。中村も、栗原の一塁守備については「上手いですよ」と評価し、内野ゴロやショートバウンドの送球をそつなく処理した。「ドキドキでしたよ。でも大事なのはどこ(のポジション)も一緒なので」と背番号24は振り返った。

 バットでは4打数1安打。初回2死一塁では変化球を右前に運んだ。「データはありますけど、僕も相手も(お互いに)そんなわからないと思うので。駆け引きというよりも振れるところに来たらしっかりと振ることです」。試合後も打撃練習に励み、修正を図っていた。誰かが欠ければ全員でその穴を埋めてきた今シーズン。最後の最後まで、チーム一丸となって戦い抜くしかない。

(竹村岳 / Gaku Takemura)