SNSで怪文書扱い…緊急声明にナインが本音 “救世主”からイジり「炎上したんですか?」

声明発表直後に川瀬がサヨナラ打→5連勝

 ホークスに関係するすべての方、そしてファンの皆さま、本当におめでとうございます! 鷹フルではリーグ優勝を記念し、特別コンテンツをお届けします。今回のテーマは「緊急声明」。ホークスが最下位に沈んでいた春先、とある投稿が物議を醸しました。

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「ホークスが苦しんでいます」。2025年5月2日、SNSに投稿された中央揃えの“声明文”は瞬く間に拡散され、わずか数日で500万回超のインプレッションを記録した。

 今季、チームは開幕から周東佑京内野手や柳田悠岐外野手、近藤健介外野手ら主力が続々と離脱。5月2日の試合前時点で5連敗を喫していたチームは、9勝16敗2分の借金7でリーグ最下位に沈んでいた。そんな中、鷹フルがX(旧ツイッター)、インスタグラムに緊急声明を投稿した。

 引用欄には賛否両論、様々な声が寄せられた。同日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)で、チームは2点を追う9回2死走者なしから逆転サヨナラ勝利。そこから5連勝を飾った。以降、右肩上がりに順位を上げ、9月5日には優勝へのマジックナンバーが点灯した。

 ホークス専門メディアとして、ナインとファンが少しでも前を向いてほしい――。その思いには嘘も偽りもない。ただ、「怪文書」と呼ばれ、ネットでイジられた緊急声明をナインはどう感じていたのか。そこには不安が残っていた。「実際どう思ったんですか?」。恥を忍んで聞いてみた。

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続きの内容は

・川瀬選手の「緊急声明」へのまさかの反応
・斉藤監督が語った「緊急声明」への本音
・声明後の快進撃、チームの驚異的な勝率の全貌

 最初に話を聞く必要があったのは川瀬晃内野手だ。声明文が世間を賑わせた数時間後のロッテ戦で、代打逆転サヨナラ打。小久保裕紀監督も「奇跡に近い」と脱帽した一打はチームだけではなく、鷹フルをも救った。そんな川瀬に聞くと、返ってきたのは予想外の言葉だった。

「何ですか? それ」

 28歳のヒーローは、そもそも声明文の存在を知らなかった。選手たちは周囲の声に惑わされず、ただ野球に集中して結果を残している。「迷惑をかけていないか」と心配していたこと自体が編集部の驕りだった。その後、川瀬は「炎上したんですか? あとで見ておきます」と優しくイジってくれたが、記者は自らの傲慢さを痛感していた。

斉藤監督からチクリ「恥ずかしいと思うようなことを…」

 それならばと、緊急声明を“知っている”人に話を聞きに行った。当時、斉藤和巳3軍監督はXで投稿を引用する形で「なかなかこんなメッセージを送ってくれるメディアはおらん。本当有り難い」と綴っていた。

 見てもらっただけでなく、熱いメッセージを寄せてくれた指揮官。鷹フル編集部は心から感謝するしかなかった。当時を振り返ってもらうため、あらためて声明文が表示されたスマートフォンを手渡した。「あの、監督。“これ”なんですけど……」。じっくりと目を凝らし、最初から最後まで読み直す。斉藤監督は、きっぱりとした口調で言い放った。

「いや、めっちゃいいやん。笑うやつは笑わしとけや。そういう世界や」

 改めて、その言葉に救われた。続けて「お前らがどういう気持ちでやったのかっていうところがまず大事になってくるし、それを抜きにしても助かっている人もおるんちゃう?」と話し、「恥ずかしいと思うようなことは載せるなよ!」とユーモアを交えて指摘していただいた。胸に響く言葉だった。

 ホークス、そしてファンを元気にしたい純粋な思いでできあがった怪文書。そこからチームは75勝35敗2分け、勝率.682の快進撃でリーグ優勝を成し遂げた。その歩みを見届けられたことに心から感謝したい。これからも鷹フルの名に恥じないように(SNSの炎上には気をつけつつ)ホークスを深掘りしていきます。ナインの皆さん、本当に優勝おめでとうございます!

(川村虎大 / Kodai Kawamura)