【連載・前田悠伍】VUITTONの紙袋に“粋な一言” 栗原や上沢…豪華すぎる初勝利祝い

プロ初勝利を挙げた前田悠伍【写真:古川剛伊】
プロ初勝利を挙げた前田悠伍【写真:古川剛伊】

7月13日にプロ初勝利…先輩たちから何をもらった?

 人気企画「鷹フルシーズン連載~極談~」。7月にプロ初勝利を挙げた前田悠伍投手は、先輩からどのように“お祝い”をしてもらったのでしょうか。「幻覚かなと思いました」と驚きを隠せなかった一品から、栗原陵矢内野手が届けてくれた“粋”なメッセージまで。プレゼントの数々が明かされました。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「初」がつく記録は、プロ人生でたった一度きりの特別な瞬間。その記念に、先輩から後輩にプレゼントを贈るのは、球界の“あるある”だ。「僕もそういうイメージがあったので、実際にいただけて嬉しかったです。いつかは自分が贈る側になっていきたいですね」。そう語る前田悠が、実績十分な選手たちから授かった“超豪華”な品々を明かす。

遠征中に届いたLINE「いつ帰ってくるん?」

「まず栗原さんからは、LOUIS VUITTONのボストンバッグをもらいました。又吉(克樹)さんにはボールペン、上沢(直之)さんからはアップルウォッチ……。さっきは、大江(竜聖)さんに目をマッサージする機械をいただきました」

 前田悠が遠征先にいた時のこと。右脇腹を痛めてリハビリ中の栗原から、ふとLINEで連絡が来た。「いつ帰ってくるん?」。渡したいものがあるのだろうと、なんとなく察したという。「『きょうの午後帰ります』と返信したら、『俺は午前で帰るから、寮長に預けとくわ』と。そのやり取りの後、寮に帰ると寮長から『これ栗原から』と渡していただきました」。

 受け取ったのは「LOUIS VUITTON」と書かれた大きなオレンジ色の紙袋。推定年俸1000万の20歳は「マジでやばい。幻覚かと思いました」と驚きを隠せなかった。さすがは栗原という男。紙袋の外には「初勝利祝い。あと5勝は頼むぞ」というメッセージが。「めちゃくちゃ写真を撮りました」と前田悠は笑顔で明かす。プレゼントだけでなく、粋な言葉まで添えられていた。

「おめでとう」筑後の残留練習で手渡されたのは?

 さらに、又吉や上沢からの贈り物についても続ける。「又吉さんにも会う機会があまりなかったので、寮長を通じていただきました。まずLINEで『ありがとうございます』と言って、僕がドームで投げた時(7月29日の2軍戦)に、直接お礼を伝えました。上沢さんには、筑後の残留練習の時に『おめでとう』と直接渡していただきました」。

 心意気のある先輩ばかりだ。しかし、左腕はただ喜ぶだけではない。初勝利を挙げた7月13日の楽天戦は、午後1時開始のデーゲームだった。試合後に空路で帰福し、若鷹寮に到着したのは午後11時ごろ。「シャワーを浴びて治療とストレッチをしてノートを書きました」。疲れが残っていても余韻に浸ることなく、ルーティンをきっちりと済ませた。「球場にいた時は嬉しかったですけど、もう過ぎたことなので。やることをやらないと怖いですし、次の日に響くのも嫌なので」。20歳の若鷹が言うのだから、どこまでも頼もしい。

 ベッドに入ったのは午前2時ごろだった。「次の日はドームで投手練習だったので、4時間くらいしか寝ていなかったですね」。どんな時も貫くプロ意識の高さを、周囲もきっと見ている。だからこそ、手を差し伸べたくなるのだろう。「自分がしてもらったことを忘れることなく、もっと勝ちたいという気持ちが強くなりました」。初々しい笑顔で、先輩たちに心から感謝した。

(竹村岳 / Gaku Takemura)