ダウンズ起用が的中 小久保監督「勇か迷いましたけど」…ライトゴロ海野は「久々見た」

「愚痴、独り言、ため息の『3禁』はできなかったなと」
ソフトバンクは9日、日本ハム戦(みずほPayPayドーム)に4-1で勝利した。先発の有原航平投手は7回1失点と好投し、3年連続の2桁勝利となる10勝目をマーク。その後は松本裕樹投手、杉山一樹投手とバトンを繋いだ。打線は1点を追う2回、山川穂高内野手の17号ソロで追いつくと、海野隆司捕手の適時打で勝ち越しに成功した。4回にはジーター・ダウンズ内野手が4号2ランを放ち、追加点を奪った。
日本ハムとの首位攻防戦第1ラウンドを制し、ゲーム差を2に広げた。この日、取材に応じた小久保裕紀監督の一問一答は以下の通り。
●試合前
――天王山と呼ぶには早い?
「でも首位攻防ですからね。いいゲームにしたいですね」
――ファンも喜ぶ試合にしたい。
「もちろん勝ち負けはありますけど、首位攻防にふさわしい試合内容になれば、ファンの方にも喜んでもらえるんじゃないですかね」
――先発ローテを見ても、この3連戦を意識しているように感じる。
「そうですね。後半戦が始まって、ここに3枚(有原、リバン・モイネロ投手、大関友久投手)を持ってこようと逆算して組んでいたので。次(22~24日)はどうかわからないですけど、ここは3人をぶつけようと決めていたので」
――オールスター前には決めていた?
「ほぼほぼそうですね。モイネロがずっとローテで回っていたので、1回空けるのにもちょうどタイミングが良かった。先発2年目で、去年は何回か空けましたけど、今年は1度も空けてなかったので」
――野手に関しては。
「きょうは近藤(健介)が守ります。今が山場とは思っていないですけど、本人がいけそうということなので。山川がDHで、晃がファーストです。晃は後半戦初スタメンですね」
――近藤選手はここからずっと守備につくわけじゃない。
「まずは明日の反動を見て決めます。きょうはライトです」
――100試合が終わった。気持ちの変化は?
「まだ一進一退なので。ゲーム差もあってないようなものですし。緊張感のある戦いが続きますね、いい意味でね」
――ストレスもある?
「ストレスはないですけど。去年はあそこまできて2位は許されないと、そればかり考えていたので。今は目の前の試合を取ることだけ考えている。こういうシーズンも楽しいですよ」
――ここ数試合の表情を見ても楽しんでいるように感じる。
「ここ数試合というよりも、オールスター前の西武戦からですね。色々あったんですけど、言いたくないですね。人の行動が変わる時には理由があるので」
――去年から感情を出さないようにしていると話している。
「喜ぶ時は喜んでいますけど。去年は愚痴、独り言、ため息の『3禁』はできなかったなと。今年もできていないんですけどね」
天王山の重要性強調「ホークスの3本柱をぶつけている」
●試合後
――天王山の初戦を制した。
「初戦がとにかく大きいと思っていたので。最初を取れてホッとしています」
――有原投手の好投が大きかった。
「味方のミスで1点を奪われましたけど、7回のピンチでの粘りですね。ゲッツーを狙いにいった中で、しっかりと取って。あのイニングをゼロで抑えたことで、勝ちに近づきましたね」
――有原投手は8連勝。まだまだ続きそう。
「先月の月間MVPも取っていますし、ここ2か月は本当に安定したピッチングをずっと続けてくれていますね
――1点を先制された直後に山川選手のホームランは大きかった。
「大きかったです。嫌な点の取られ方をした中で、あそこで追いつき、また逆転できたのは流れ的には非常に大きかったですね」
――海野選手が決勝打。
「ライトゴロは久々に見ましたけどね。見事なバッティングでしたけど、アウトになりましたね」
――ダウンズ選手のHRも光った。
「きょうのスタメンは(川瀬)晃をショートで行こうと決めて、サードは(野村)勇かダウンズか迷いましたけど。見事に期待に応えてくれましたね」
本拠地10連勝に「いいものは続けていきましょう」
――明日以降に向けて。
「負けられない試合が続く中で、ホークスの3本柱をぶつけているので。しっかり明日も勝ち切りたいと思います」
――有原投手は流石の投球だった。
「今年のスタートとしては、いい形ではなかったですけど。ここにきて本来の力を発揮してくれていますね」
――初回から飛ばしていた。
「そう見えましたね。それでも7回になっても出力は落ちていなかったですし、元々スタミナは抜群の投手なので。あのピンチを切り抜けられたのが大きかったです」
――首位攻防戦ということもあり、有原投手には言葉はかけた?
「特にないです。今日はしゃべってないです。先発は(球場に)来るのが遅いので」
――本拠地10連勝となった。
「そうなんですか? いいことですね。いいものは続けていきましょう」
――近藤選手を最後まで守らせた。
「最後は杉山(一樹)で3点差だったので、代えてもと思っていたんですけど、本人がいけますと言ったので。ただ久しぶりに9回を守ったので、明日の反動を確認してスタメンは決めようと思います」
――ダウンズ選手は左腕相手に数字は良くなかったが、加藤貴投手への好相性を考慮した?
「今の状態も含めてですね。左の成績は良くないですけど、状態の良さを取って使いました。あのホームランは大きかったですね」
――試合を重ねるたびにチームが強くなっている。
「やっぱりピッチャー陣が安定しているのが一番でしょうね。(点を)取っても取られてだと、野手も落ち着いていいところを出せないので。山川が(7回)1アウト満塁で倒れたところも、残り2イニングを三者凡退で抑えられる投手がいる。そういう部分が、野手の成長にもつながっているので。流れを渡さない投手陣がいるのが、今の位置にいられる要因だと思います」
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)