ホークス応援が縁…企業カラーを変更 関家具が実感する売上げ以上に“大事なつながり”

大関登板時→「大関家具」に変更して話題に
ホークスの本拠地・みずほPayPayドームのバックネットに設置された、ド派手な黄金色の広告――。試合中継を観ていると、必ず目に入ってくる。地元福岡・大川市に本社を置く家具商社の「関家具」。2023年からは大関友久投手の登板時に、表示を「大関家具」に変更する“粋な計らい”でも話題になった。同社は、郷土のチームの応援を通じて様々な“つながり”を実感している。
同社が広告を出し始めたのは2009年シーズンからだった。前年、チームは64勝77敗3分で12年ぶり最下位に沈み、王貞治監督が退任。営業面も苦戦し、球団は新たなスポンサー探しに奔走していた。そんな中、関家具にも営業があった。
創業者で当時社長を務めていた関文彦会長は大の野球好き。下條一利常務執行役員・営業統括本部長は「(ホークスから声をかけてもらって)多分めちゃくちゃうれしかったと思うんですよ」と思いを代弁する。それをきっかけに、バックネット広告がスタート。当時は社長室で社員が集まってテレビ観戦。看板広告を見て、皆で盛り上がった。
同社といえば、黄金色に漆黒の文字で「家具産地大川 関家具」と書かれたロゴで認知されているが、当初コーポレートカラーは青、赤、白の3色だった。広告を出すにあたって“看板用”として目立つ黄金色を採用した。ホークスカラーを彷彿とさせるロゴは徐々に定着。今では「対外的に使うものは全て黄金色になっています」という。
地元福岡では、ホークスの影響力は絶大だった。スポンサーになると、取引先から声をかけられることが多くなったという。他にもホークスファンのお客さんが来店することも。セールなどの際に、一定額以上の購入でチケットを限定でプレゼントしたところ、大きな反響があった。「こんなに喜んでくれるんだってくらい喜んでもらえますね。こちらがびっくりしました」と話す。

若鷹寮に家具を納品…陰のサポートも
プロ野球と家具商社――。直接的な関わりこそないものの、様々な接点がある。ホークスは2019年からeスポーツチームも運営している。関家具は2023年にホークスとコラボしたゲーミングチェアを100台限定で販売。又吉克樹投手がX(旧ツイッター)にアップしたこともあり、完売した。他にもタマスタ筑後の若鷹寮に家具を納品するなど、球団との縁は少なくない。
対外的なメリットにとどまらず、球団のスポンサーは社員のモチベーション向上にも一役買っている。下條さんは「うれしいと思いますよ。知られていない会社より、知られている会社に自分が就職した方がいいでしょうし、家族だったり子どもだったりが見ているので。その中で誇らしさだったり、士気が上がったりするのなら、広告出稿にも意味があると思います」と頷く。

今ではバックネットにある看板は“当たり前”となり、(契約対象外の)日本シリーズ期間中に広告が出ていないと「スポンサーやめたんですか?」と言われるほど。「ホークスというのは福岡に根付いていますが、そのファンの方々に、関家具の看板を少しでも見ていただいて、記憶の片隅にでも残していただけたらありがたいですね」。本拠地のシンボル的な看板で、これからもホークスを支える。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)