右肘クリーニング術で復帰まで3~4か月…鳴った音で「もう無理!」
体の中から響いた嫌な音で、右肘に限界がきていることを悟った。「腕を上げたらパキッて鳴って。もう無理! 手術って感じでした」。HAWKSベースボールパーク筑後の室内練習場でリハビリを行なっている上茶谷大河投手は、右肘関節クリーニング術を決断するまでの背景を明かした。
昨年12月に行われた現役ドラフトでDeNAから移籍。持ち前の明るさは手術後も健在で、リハビリ組でも盛り上げ役になっている。しかし、移籍直後の決断には「だいぶ落ち込みました。どうしてこうなったんだって」と本音も。支えてくれたのは1996年生まれの“同期”の存在だった。
「キャンプ中、結構粘ってたんですよ」。12月に現役ドラフトでホークスへ加入し、2月に初のキャンプ。初日から痛みはあった。1週目を終え、リハビリ組に合流。投げられると思った直後のシャドーピッチングで右肘が鳴った。「即決です。『はい。手術!』って感じでした」。2月14日に手術を発表。誰にも相談はしなかった。
現在は球速が120キロ程度まで出るようになり、順調な復帰のプロセスを踏んでいる。リハビリ組では誰よりも笑顔で明るく、チームを盛り上げている。それでも「1人でいたら結構落ち込むこともありましたね。『ああ、やってもうたなぁ』とか『手術かぁ』とか」。そんな右腕にチームメートが声をかけた。
選手では栗原陵矢内野手、松本裕樹投手、藤井皓哉投手、伊藤優輔投手、野村勇内野手。その他に重田倫明広報も同学年だ。キャンプ中、帰福直前に行われた同期会では他のメンバーから「上茶谷の独壇場」を言われていたが、上茶谷にとっては同期の言葉が心強かった。
「重田も心配してくれましたし、そういう(同期の)括りは本当にありがたかったです。クリ(栗原)は心配していないとは思うんですけど(笑)。喋ってくれるので。藤井とかマツ(松本裕)もこうした方がいいとか色々言ってくれましたし。優輔も新加入で一緒に頑張っていこうみたいな。ライバルではあるんですけど、トミー・ジョンとか右肘手術の話とかも聞かせてもらったりして。そういう会話をしていたので落ち込まずにいることができました」
栗原も右脇腹を痛め、リハビリ組に合流。20日には2人でキャッチボールを行う場面もあった。手術が決まった時は「クリは『お前何しにきてん』って言ってましたけど(笑)。そういってもらえた方が楽でした。『手術しにきたんや』って言っておきました」と笑う。新しくつながった同期の縁が、明るさの源になっていた。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)