大関友久「自分はわがまま」 衝突続きだった“大海バッテリー”…「逃げるようじゃ勝てない」

単独インタビューに応じた大関友久【写真:冨田成美】
単独インタビューに応じた大関友久【写真:冨田成美】

昨季15度も組んだコンビの日常「喧嘩まではいかないけど、結構ぶつかった」

 鷹フルがお送りする大関友久投手の単独インタビュー。全3回の2回目、テーマは「大海バッテリー」についてです。昨季は20試合に登板し、うち15試合でコンビを組んだのが、ドラフト同期で同学年の海野隆司捕手でした。「僕はわがままなんです」――。左腕が明かしたのは、“相棒”への特別な思いでした。

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 グラウンドの外では温厚な左腕だが、マウンドに上がった瞬間、その目は一気に鋭さを増す。「あやふやな気持ちのまま、投げることだけはしたくないので」。目線の先でミットを構えるのが海野だった場合は、なおさらだ。「喧嘩まではいかないですけど、結構ぶつかったりすることはありました」。2人のコミュニケーションに“妥協”の文字はない。

「若干、リードに消極的な部分が見えたり、守りにいき過ぎているなと感じたりした場面があった時には、試合後にしっかり話します。『大事なところで逃げるようなバッテリーだと、多分勝てないよね』って話を僕がして。海野にももちろん意見があるし、だからこそ落としどころを2人で作っていくという作業が必要なんです」

 捕手がサインを出し、投手がボールを投げ込む。試合はバッテリーの共同作業で作り上げていくものだ。1球1球の意図が通じ合っていないと、相手打者を抑えることはできない。大関が海野と話し合うのは配球面だけではなく、ミットをどこに構えるかという細部にまで及ぶ。

「例えば外角ギリギリに構えるのか、1個ボール気味なのか。ピッチャーからすれば、それだけで全然違うんです。ボール気味にミットを構えて、そこにしっかり投げられた結果がボールだった。それで本当によかったのかってことです。海野の考えと僕の考えがずれると、意味のない1球になる。だから、確固たる“理由”が必要だと思っていますね」

 大関は自身の思考について「どちらかといえば、攻めすぎる傾向だと思います」と分析する。「ボール球を要求する場合でも、次のバッターで勝負する方が絶対に抑えれるという考えなのか、このバッターに打たるのが怖いからそうなっているのか。攻めすぎてもいけないけど、守りに入ってばかりでも駄目。攻める気持ちはなくしちゃいけないかなと思っています」。

大関友久(右)と海野隆司【写真:荒川祐史】
大関友久(右)と海野隆司【写真:荒川祐史】

 当然、左腕も自身の考えが全て正しいとは決して思っていない。「海野はリスクを少し下げることがすごく上手なタイプだと思っているんです。僕が攻める必要のないところでも攻めたいってなっている時に、そこを1つ落としてくれる。バランスがうまく取れていたのかなっていう場面もたくさんあったんですよ」。揺るがない信頼関係があるからこそ、思ったことを素直に言い合える。

 今オフは球団納会ゴルフでともにラウンドし、道中も車内で言葉を交わした。「色々と話してみて、海野には本当にちゃんとした考えがあるし、そう考えると自分はどっちかといえばわがままだなと。そこをうまく受け入れてくれていたんだなって感じました」。感謝を口にした左腕の表情はいつも通り柔らかなものだった。

 上沢直之投手や浜口遥大投手ら先発投手の大補強が行われた一方、ホークスで長年正捕手を務めてきた甲斐が巨人にFA移籍した今オフ。大関と海野にかかる期待は今まで以上に大きくなる。紛れもない「主力」となるため、2025年は重要な1年になることは間違いない。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)