今宮の自主トレで…撮影中に感じた「これまでにない変化」
ホークスの選手たちは、グラウンドの内外で様々な表情を見せてくれます。その瞬間を切り取った写真は、単なる画像情報ではありません。時として、秘めた思いや歩んできたストーリー、思わぬ側面が強くにじむこともあります。鷹フルでは、2025年新企画「鷹フルカメラの撮っておき」をスタート。カメラマン・冨田成美が“撮影者目線”で選手たちの素顔に迫ります。(不定期掲載)
「あれ? 何かが違う……」
1月12日、福岡県宮若市。今宮健太内野手の自主トレを取材している時のことでした。普段からホークスの撮影をしていますが、これまでにない“顔”を見せる選手がいました。それが、海野隆司捕手でした。
今宮選手の自主トレには、ホークスからは海野捕手のほか野村勇内野手、育成の桑原秀侍内野手が参加。朝早くから練習がスタートしました。守備練習やバッティングなど充実した一日を終え、取材対応へと移りました。
各選手が報道陣に今季への意気込みを語り終えると、カメラマンとしては絶対に逃すことのできない仕事がやってきます。参加選手の集合写真撮影です。記事に使うか否かは別として、個人的にどうしても撮影したいと思っていました。他球団から参加している選手も含め、全員が集まる貴重なショットにもなり、シーズン中にはない瞬間だからです。
報道各社のカメラマンがそれぞれ声をかけながら、シャッターを切ります。そのひと言次第で、選手の表情が変わります。
ほとんどの選手が笑みを浮かべる中、ただひとり真顔の海野捕手がいることに気がつきました。撮影慣れしている今宮選手も皆に声をかけ、選手たちの表情はどんどんと柔らかくなっていきましたが、海野捕手だけは最後まで真顔でした。
これまで正捕手として君臨し、長年にわたってチームの勝利に貢献してきた甲斐拓也捕手が今オフ、巨人にFA移籍。2025年シーズン、「ポスト甲斐」争いはチームにとってカギとなります。昨季は第2捕手としてシーズンを1軍で過ごした海野捕手は今季「100試合以上出場」を目標に掲げています。
この日の練習でも、鬼気迫る表情でバットを振っていました。並々ならぬ覚悟は、レンズを通しても痛いほど伝わってきました。今季、誰よりも1軍で活躍し、笑顔あふれる海野捕手を撮るのが今から楽しみです。