2023年オフにソフトバンクから戦力外に…「そういう考えなので従うしかない」
戦力外通告を受けて1年が経った。中日・上林誠知外野手がFull-Countのインタビューに応じた。立たされたキャリアの分岐点に「変わり切れなかった」と反省も込めながら振り返る。
上林は2013年ドラフト4位でソフトバンクに入団。2017年は13本塁打、2018年は全試合に出場し22本塁打を記録した。以降は怪我に悩まされ、昨オフに戦力外通告を受けた。真っ先に連絡をくれ、獲得したのが中日だった。今季は46試合に出場し打率.191、1本塁打、3打点。「思い通りには行かなかったというか。環境が変わって、どう変わるのか期待をしていた部分もあったんですけど。うまく噛み合わなかったというか、そういう感じでした」と語る。
ソフトバンクから戦力構想外であることを告げられた時「ちょっとビックリしましたけど、球団がそういう考えなので従うしかない」と受け入れていた。キャリアの分岐点から1年が経った。戦力外通告という経験を踏まえ「環境が変わって、他にも変わらないといけなかったところを、変わり切れなかったから、今年の結果だったんだと思います」と前を向きながら振り返っていた。
2019年以降、怪我の影響もありソフトバンクでは出場機会が限られた。環境が変われば――。自分自身に期待も抱いていたが、結果で応えることができなかった。「プレースタイルは変える必要はないし、変えられないですから。そこというよりは、メンタルとか、表情とかですね。ちょうど来年、監督も変わるので。監督が陽気な感じの方なので。自分もそっちにちょっとずつ移行しようかなと」。
井上監督はドラフト会議でガッツポーズ…4球団競合を制し「脱臼しそうだった」
立浪和義前監督から、井上一樹監督となり2025年を迎える。10月24日に行われたドラフト会議では、4球団競合の末に関大・金丸夢斗投手を引き当て「脱臼しそうだった」というほど、力強いガッツポーズを見せた。指揮官が変われば、チームの雰囲気も大きく変化する。上林も「高校の時はキャプテンをやっていましたし、先頭に立って声を出したりするのは苦手とかではない。ちょっとずつ変わって行けたらいいんじゃないですか」と、来季は熱い姿も見られそうだ。
2022年5月に、右アキレス腱を断裂した。選手生命にも大きな影響を与えた大怪我で、現在の状態を「たまに疼くし、もちろん完全体ではないですけど。年々回復はしていますし、スピードとかは戻ってきているので、自分の感覚ではちょっとずつ戻ってきていると思います」と分析する。打って走って守れる選手像をずっと目指してきた。新しい指揮官のもと、輝きを取り戻してみせたい。
来年8月には30歳を迎える。プロ12年目のキャリアに目を向け、危機感と決意を口にした。「本当に最後。来年できなかったらそのまま終わりだと思っています。今年、移籍してチーム自体には慣れたので。1年目で遠慮していた部分もあったし、みんなとも仲良くなって、チームがどういう感じなのかも掴めたので。今はもう、絶体絶命というか。背水の陣、そんな立場です」。栄光も知り、崖っぷちからも立ち上がってきた。もう1度、ファンを心から喜ばせてみせる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)