野球選手として大きな決断を下した。ソフトバンクの石川柊太投手は8日、みずほPayPayドーム内の球団事務所を訪れ、国内フリーエージェント(FA)権の申請書類を提出した。
2013年の育成ドラフト1位で創価大から入団した右腕。2016年の7月1日に支配下登録された。今季までに185試合に登板し、通算56勝41敗、防御率3.32の成績を残している。2020年には最多勝と最高勝率のタイトルを獲得。2023年8月18日の西武戦では千賀滉大投手に次ぐ、育成出身選手として2人目のノーヒットノーランを記録した。「育成の星」の1人として名を挙げた石川が、FAを決断した理由を明かした。
「自分が野球界でどういう評価をされているかを聞いてみたいというのが一番のところ。そういう権利があるので選択肢が広がるところに価値はあると思う。そういう意味で使用させていただく気持ちになりました」
球団からは「うちとしてはウェルカムなので、という話はしてもらいました」とのやり取りがあったことを明かした。今季は7勝を挙げ、リーグ優勝に貢献。最終盤には安定感のある投球を見せたことが高く評価された。石川としても、ホークスに不満があるから宣言したわけではない。育ててもらった球団への恩義と、育成出身選手としてのプライドを持ってFA権の行使を決めた。
「自分の中でも育成で入ったことへの思いや、やれるんだという道があることを示してきた。育成で入ってきた人たちに夢を与えられると思って、自分の中では勝手に“育成の星”として頑張ってきている。大卒で3年目に支配下登録されて、FA権を取って行使してっていう流れ。大卒で入ってFA権を取るのは長かったですし、怪我とかもありますし……」
過去に前例のない、育成出身選手のFA権行使。他球団へ移籍することになれば、野球界にとっても新たな歴史が作られることになる。「こうやって(FA権が)取れるという現実を見せられたのは育成出身としてうれしく思うし、誇りに思う部分でもある」。ホークスにとっても石川が抜けることは大きな痛手。それは自身も理解していることでもある。今後は熟考を重ね、決断を出すつもりだ。
他球団から声がかかるのか、石川がどのような選択をするのかは現段階ではわからない。「悩むことはあるかもしれないけど、結構合理的な方なので。感情的な部分と分けて考えられるタイプだと思うので。悩むか悩まないかも分からないので、今のところ難しいですね」。後は右腕の決断を見守るだけだ。