登録されなかったCS初戦…「すぐ隣でやってるのに」 笹川吉康は試合中何してた?

ソフトバンク・笹川吉康【写真:冨田成美】
ソフトバンク・笹川吉康【写真:冨田成美】

日本シリーズ第4戦で初出場初スタメン…いきなり安打をマーク

 湧き立つ気持ちを抑えながら、準備を進めてきた。ソフトバンクは30日、「SMBC日本シリーズ2024」の第4戦(みずほPayPayドーム)でDeNAに0-5で敗れた。この試合で日本シリーズ初出場、初スタメンとなったのが笹川吉康外野手だ。

「9番・左翼」で抜てきされた22歳。先頭打者として迎えた6回の第2打席では、2ボールからの3球目を左前に運び、シリーズ初安打をマーク。1死後には二盗にも成功した。得点には至らなかったが、堂々としたプレーを披露した。

 笹川は3連勝で終わった、日本ハムとの「2024 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージでは、2戦目に代走で出場しただけだった。CSが始まる前日の15日から1軍に合流していたが、初戦はベンチ入りすることはなく、試合後には他の選手らとともに球場を後にしていた。試合中はどのような気持ちで、何をしていたのか。そこには静かに燃えたぎる気持ちがあった。

「1人でトレーニングをしながらロッカーで試合を見ていました」

 本拠地で熱い試合が繰り広げられる中、登録を外れた笹川はベンチ裏にあるロッカールームでトレーニングに励み、汗を流していた。すぐ目の前で起きている試合の緊張感を味わうことができず、唇を噛んだ。

「なんかすぐ隣でやってるのに入れないっていうか。ベンチでその雰囲気を一緒に味わいたかったなっていう思いが強いですね……」

 誰もいないロッカーで、テレビ中継を見ていた。試合は序盤からホークスが優位に立ち、5-2で日本ハムに勝利。相手先発は有原航平投手と最多勝を分け合った伊藤大海投手だったこともあり、ホークスが得点を奪うたびに大歓声が聞こえてきた。そんな中でも、来るかどうかわからない出場機会に備えて黙々と汗を流した。

 みやざきフェニックス・リーグではホークスのキャンプ地でもあるアイビースタジアムの場外に本塁打を放つなど、存在感は際立っていた。視察に訪れていた小久保裕紀監督が「もちろん(CSのメンバーに入る)」と口にするなど、ポストシーズンでも戦力になるという手応えを感じていた。

「状態は悪くないと思います。欲を出さずです。特にどのように使っていくという話はされていないですけど、(ベンチに)入ったり入らなかったりだと思います」

 スタメン出場は13日の対日本独立リーグ選抜戦以来だった。17日ぶりの打席は日本シリーズという大舞台。それでも好結果を残してみせた。福岡での胴上げは消滅したが、横浜は笹川の地元でもある。シーズンの最後に熱い気持ちを爆発させる。

(飯田航平 / Kohei Iida)2024.10.31