柳田悠岐、横浜の意外な記憶 豪快弾ではなく…山川穂高と語る日本Sの戦い方

ソフトバンク・山川穂高(左)と柳田悠岐【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・山川穂高(左)と柳田悠岐【写真:荒川祐史】

2015年にはバックスクリーンを“破壊”するHR…「めっちゃ前のこと」

 ソフトバンクは22日、みずほPayPayドームで全体練習を行った。18日にクライマックス・シリーズのファイナルステージを突破。日本シリーズに向けて調整中の21日、ついに対戦相手が決まった。セ・リーグではDeNAが巨人を4勝3敗で破り、ホークスと激突することになった。柳田悠岐外野手と、山川穂高内野手は何を感じたのか。

 6月に横浜スタジアムで行われた交流戦では、2勝1敗と勝ち越した。“柳田と、横浜”。2015年6月3日には、今はDeNAの指揮を執っている三浦大輔監督からバックスクリーンを破壊する豪快なアーチを架けた。「めっちゃ前なんで、覚えていないですね」。2017年には、日本シリーズで対戦した相手。柳田の脳裏に残っているのは、意外な記憶だった。

「応援がすごいイメージです。それだけは覚えています」

 2017年のホークスはリーグ優勝に輝き、日本シリーズも4勝2敗で頂点に立った。レギュラーシーズンとは違い、日本一を決める頂上決戦。中堅を守っていた中でも、青一色に染まるDeNAの応援を、色濃く覚えているようだ。当時とは違って、今はスタンド席も増設されただけに「じゃあ、もっとすごいんですかね」と目を丸くする。

 山川にとっては、キャリアで初めて日本シリーズに進出することになった。西武時代の2018年、2019年はレギュラーシーズンで連覇を果たしたが、CSで敗退して涙を飲んだ。「しっかりと対策して、頭の中でもDeNAの投手をイメージしながら、あと何日かを過ごしたいです」と頷く。3連勝を飾った日本ハムとのファイナルステージでは、3戦3発でMVPを獲得した。舞台が変わっても当然、山川のバットにかかる期待は大きい。

 34本塁打でタイトルを獲得したものの、6月はノーアーチに終わった。西武、ホークスとパ・リーグでキャリアを歩んできただけに、セ・リーグのチームとの対戦には本音も覗かせた。

「苦手ですね。苦手というか、対戦数が少ない。同一リーグの投手は何年もかけて対戦するじゃないですか。そういう意味では、セ・リーグは年に1回、あの時期だけですし。同じ投手と2回やることもない。中継ぎの人でもないくらいなので、イメージがしづらいというのはありますね」

 引き分けを除けば、最大でも7試合しかない短期決戦。山川も「捨てるような打席はないです。シーズンだと、捨てるのに近いような打席はあるんですけど。ここは真っすぐだけを狙う、とか。1日かけてフォークしか待たないとか、そういうのはあるんですけど。短期決戦だとしないですよね」という。回ってくる全ての打席が大事になるからだ。貴重なチャンスを逃すことなく、チームとしても得点を重ねていきたい。

 通算252発。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場するなど、キャリアを積んできた。重圧がかかる短期決戦において、なるべく早く1本目のヒットがほしい気持ちは自然と大きくなるだろう。それでも山川は「まずは1本」という意識ではないという。足元を見つめて展望を明かした。

「先にバットに当たってほしいですね。それくらいのレベルです。そんなものです。自分がしっかりと振ってバットに当たるかどうか。バットに当たって(野手が)いないところに飛べばヒットになるし、上がればホームランになるかもしれない。本当にコンマ(何秒)の世界なので。そこよりは、まずはベストのスイングができるような準備をすること。ベストなスイングをしてアウトになることはいいことなので」

 決戦は、もう少しで始まる。柳田もDeNAに対して「強いです。みんな打つし強いなというイメージです。まずは1本、まずは1勝、だと思います」と語った。目標にしてきた日本一を、全員で掴みに行く。

(竹村岳 / Gaku Takemura)