誹謗中傷が「腹立たしい」 届く声は「死ねとか…」、牧原大成の願い…選手目線の“本音”

ソフトバンク・牧原大成【写真:竹村岳】
ソフトバンク・牧原大成【写真:竹村岳】

8月9日に自身のXで投稿「こんだけ誹謗中傷の事が広がる世の中でまだ…」

 ホークスが4年ぶりのリーグ優勝を飾りました。鷹フルでは、牧原大成内野手の単独インタビューをお届けします。最終回では主力選手としての自覚を語った一方で、ファンの人たちとの「距離感」についても言及。SNSで届く誹謗中傷の一部を明かした。批判を受け止める覚悟はできているからこそ、1人のプロ野球選手として、どうありたいのか。赤裸々に語った。

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 73試合に出場して打率.289、2本塁打、13打点だった2024年シーズン。年間を通した活躍はできなかったが、小久保裕紀監督が牧原大に対して「レギュラー」という言葉を使ったこともあった。「年々、怪我をしないようにという思いは強くなっているので、なおさら悔しかったですね」と足元を見つめる14年目の31歳。少しずつ若鷹を引っ張る立場となってきた牧原大は、チームにとっても欠かせない存在だ。

 昨シーズンが終わった後、小久保監督には二塁手として勝負する意思を伝えた。「外野はやらない」と宣言していた通り、今季は二塁以外のポジションに就くことはなかった。7失策を喫しており、「1年間守っていないので、あれですけど。エラーがちょっと目立ったのかなと思います」と、悔しさ混じりに振り返った。「悔しい気持ちはもちろん、打てなかったりミスをしたらあるんですけど。でも、やることをやってのミスなので。後悔というものはないですね」。できる準備をしたからこそ、キッパリ言い切るところも牧原大らしい。

 14年目のシーズンを終えた。若手の台頭も目立った今季、気づけばもう後輩に背中を見せる側の立場になっている。「もちろん若手を引っ張っていかないといけない年齢でもありますし。上の人、今宮(健太)さんだったり、(中村)晃さん、ギー(柳田悠岐)さんが、どうやってチームを引っ張っているのかを勉強している年齢じゃないですか」。今季、二塁から投手を励ます姿を何度も見た。ガツガツとポジションを奪いに行く若手のような気持ちは絶対に忘れない。一方で、芽生えている新しい気持ちが確かにある。

「投手が苦しんでいる時に声をかけたりとか、なんとかプレーで助けてやろうという気持ちは、年齢を重ねるにつれて強くなっていますね」

 8月9日、自身のXを更新した。「こんだけ誹謗中傷の事が広がる世の中でまだそういったDM送ってくる人何なんですか?」と、純粋な思いを綴った。自分自身の書いたサインが、転売さているのは何度も見たことがある。「(売るかどうかは)その人の人間性次第ですから。かといって書かないわけにもいかないですし……。そういう人たちに腹が立ったことはあります」と2月にも話していた。牧原大は「うーん……」と言葉を選びつつ、率直な思いを語った。

「何を思って僕たちに(誹謗中傷を)言ってきているのかなって思います。それこそ(規制の)体制が変わって、(発言した本人が)特定されたりもする。それも、特定されたら前科がついたりするんです。そういう中でも言ってくるっていうのは、すごく腹立たしいですね。これは僕らが言っても、そんなに変わらないと思います。チームとして、本当はやってほしいことだとは思いますね」

 メディアの前でも「なるべく自分の言葉で話せたら」と口にするなど、どんな時も嘘はつかない牧原大の純粋な気持ちだった。「言わせたい奴には言わせておけばいいと思うんです」とした上で、赤裸々に胸中を明かす。

「打てなかったら『代われ』とかっていうのはわかります。僕が逆の立場でも、チャンスで打てなかったらそういう感じになると思うんですけど。『死ね』とか、そういうのってね。僕はそんな簡単には死なないですけど、中には芸能人であったり、そういうので傷つく人もいるじゃないですか。そういうのをわかった上で言ってくるのは、どんな考えで言ってきているのか、知りたいですね」

 情報に溢れている社会。SNSなどを一切見ないことでシャットアウトする選手も中にはいる。牧原大も「見なければいいって言われますけど」とした上で、「無視ができないっていうか、今ってSNSだけじゃなくて、僕らもスポーツニュースとか見るし、コメントとかもパッて出てきますよね。そういうのも、いろんなところから情報が入ってくるじゃないですか。勝手にも入ってくるんです」と、選手目線で語った。聞きたくない声も届いてきてしまうからこそ、応援してくれるファンの気持ちだけは絶対に裏切らない。

「もちろん、そういうアンチの人よりも、応援してくれる人は多いです。そういう方が『応援してよかった』と思ってもらえるような野球人生を送っていきたいですし、そういう人のために頑張っていきたいです」

 自分自身の存在感が高まるほど、強くもなる逆風。愛してくれる人の思いだけは、絶対に応えたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)