“ライバル”に連敗で優勝マジック「5」は変わらず
ポストシーズンに向け、一抹の不安を感じさせる“6連敗”だった。ソフトバンクは18日の日本ハム戦(みずほPayPayドーム)に0-3で敗戦。17日の同戦に続き、クライマックスシリーズ(CS)で対戦する可能性もある「ライバル」に敗れ、優勝へのマジックナンバーは「5」のまま。足止めを食らった形だ。今季の対戦成績は11勝11敗1分けと“がっぷりよつ”だが、直近の対決では6つの黒星を並べられている。
「あと5つ勝てばいいので」。17日の試合後、小久保裕紀監督は短く、そして力強く言い切った。「Xデー」の最短は21日。目前に迫ったゴールテープを切るまで、“一戦必勝”の覚悟は変わらない。その大前提の上で、「歓喜の先」に待ち構える戦いをどう捉えているのか。首脳陣の“本音”を聞いた。
「全く意識しないかといえばそういうことではないですけど。そこまでナーバスにならなくてもいいのかなと僕は思います」
落ち着いた口調で語ったのは、奈良原浩ヘッドコーチだった。「CSになったら多少なり戦い方は変わってくるだろうし、うちのメンバーも変わってくると思うので。今は離れているメンバーが多いし、現に6連敗しているけど、その前には勝っているわけですから」。大黒柱の柳田悠岐外野手、近藤健介外野手をはじめ、中継ぎ陣も離脱が目立つ現状を冷静に分析した。
「シーズンでは上り調子のチームと下降気味のチームが当たれば、こういうこと(連敗)は起こりうるんですよね。一概に、そこまで意識しすぎるのもよくないのかなと。目の前の試合を全力で戦うというスタイルは変えないほうがいい気はします」と奈良原ヘッド。過剰に意識することで、相手を優位に立たせることは避けなければならないということだ。
「気にならないことはない。勝敗に関してだけ言えば悔しいけれども、“お手上げ”ということではないので。やっぱり打たれるべくして打たれている。必要以上に怖がる必要は全然ないですね」
落ち着きぶりは若田部健一投手コーチ(ブルペン)も同様だった。日本ハムはレイエス、万波、清宮、マルティネスら長距離砲がそろう強力打線。それでも「ちゃんとした対応をすれば、恐れるところはない。強烈なのは強烈だけど、そんなに悲観することはない」と強調する。
若田部コーチはさらに続けた。「これを機に、無駄な点を与えるとなかなか勝てないよというのを再確認して。特にこれからは、後ろにいけばいくほどプレッシャーのかかるゲームになってくるので。準備段階としてはここに投げましょう、ここは危ないですよというのを徹底するだけ」。6連敗を無駄にしなければいいとの考えだ。
「気持ちがいいことはないです、同じ相手に6連敗というのは。ただ、これをマイナスに捉えるか、プラスに考えるかなので。締めるところはしっかり締める。失敗から学んで、次に生かせるか。それだけなので」
率直な思いを口にしたのは村上隆行打撃コーチだ。「相手は今、確かに勢いがありますし、強いチームだと認めたうえでこっちがやっていかなきゃいけない。CSでも戦う可能性はあるので、(相手投手の)データを取れたとプラスに考えていくしかないですよね」。あくまでポジティブにライバルとの戦いを捉えた。
まずは4年ぶりのリーグ優勝をつかみ取る——。選手の、そして首脳陣の総意は変わらない。それでも気にならないわけがない「先の戦い」。そこに向けた準備はすでに始まっている。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)