廣瀬隆太に見えた課題と確かな成長
ソフトバンクの廣瀬隆太内野手が1軍再昇格を目指し、筑後で汗を流している。今季は牧原大成内野手と三森大貴内野手の相次ぐ負傷離脱もあり5月下旬に1軍初昇格を果たすと、約1か月半の期間で打率.233、2本塁打、9打点の成績を残した。しかし、牧原大の復帰もあり、7月15日に出場選手登録抹消となった。
1軍にいる期間は、柳町達外野手と正木智也外野手とともに“慶応3兄弟”と称され、3人の活躍に多くの注目が集まった。それでも今はファームから1軍で活躍する先輩たちの背中を追いかける立場。2軍降格から1か月あまり、廣瀬はどのような気持ちで野球に取り組んでいるのか。1軍を経験したことによって見えた課題と、今の心境とは――。
「より1軍を意識するようになったというか。初めて1軍に上がった時は、上がれると思って上がったわけではなかったので、1日1日成長していこうっていう意識が強かったです。だけど今は、結果を出せば1軍に上がれると思っているので、そこの意識は変わったと思います」
1軍で生き残るためには、結果が求められることを身を持って知った。成長することに重きを置いていたシーズン序盤とは違い、今は結果を出すことを意識しながら取り組んでいるという。
1軍に初昇格したのは5月28日のこと。シーズン開幕からファームで悔しい思いをしていた慶大の先輩、柳町と同じタイミングでの昇格だった。その後、6月21日に正木が再昇格し、抹消されるまでの期間をともに1軍で過ごした。柳町と正木は、今でも主力メンバーとして活躍を続けている。
そんな先輩の姿に廣瀬は「悔しいです」と一言。一緒に活躍したい、2人よりも活躍したい――。そんな気持ちが伝わってきた。1軍を経験したことで見えた課題と取り組みを、再び預かることになった吉本亮2軍打撃コーチはこう話す。
「1軍に行って、ヒットにはなっていたんですけど、これから先はインコースの速いボールも使われ出すと思います。攻め方も大体データが出ていると思うので。そういう課題はもう見えてきているので、それに対してどうアプローチして、どう備えていくのかっていうのを今やっているところですね」
以前、村上隆行1軍打撃コーチも「インサイドを捌けるか、捌けないかは、プロで飯を食えるか食えないか」と、廣瀨本人に課題を伝えていた。その課題が明確であることは吉本コーチも同様だった。
吉本コーチは「(出場)機会を監督から与えてもらったんで。まったくヒットが出ないところからね、普通だったらすぐ(2軍に)戻ってくるところを、我慢して使ってもらえた。ヒーローインタビューも受けたし、そういった意味では順調に、良い経験をさせてもらっているのかなと見てますけどね」と続ける。経験を糧に、一緒になって課題と向き合っているという。
1軍で過ごした6月は本塁打こそなかったものの、打率.365、9打点の成績を残した。1軍で結果を残す手応えは確かに感じている。「今はやっぱり、あまり状態が良くないんで。よかった時の感覚を戻せるようにっていう感じだけです」。1軍を経験して見えた課題。今季中の再昇格を狙う。
(飯田航平 / Kohei Iida)