「不動の5番」近藤の“新相棒” 6戦連続で6番に座る正木が今季1号
殊勲のアーチを放った後輩の頭をポンポンとたたいた近藤健介外野手の表情が、全てを物語っていた。「いい仕事をしてますよね」。今季待望の第1号を放った正木智也外野手の「影の師匠」は満面の笑みを浮かべた。
26日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。初回に山川穂高内野手の15号2ランで先制すると、続く近藤が左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、2死二塁となった場面。正木が甘く入ったスライダーを捉えた打球は中堅左のテラス席に飛び込んだ。
「なかなかホームランが出てなかったので打ちたい気持ちはありましたし、狙わないようにしていたんですけど。そういう中でも出て良かったなと思います」。チームにとっても、何より自身にとっても大きな意味のある一発にほほを緩ませた。
3年目の今季、近藤の打撃動画を食い入るように何度も見直し、自身のバッティングに取り入れたという正木。「後ろからボールを打つようなイメージというか。今でも意識していますし、あれがなかったらここまで打てていないので。本当によかったなって思います」。お手本とされた近藤は正木の変化をどう捉えているのか。
「自分がいいと思って、信念を持ってやっているのならいいんじゃないですかね。誰の真似をしても。変化を恐れずにやっているところは素晴らしいと思います。実際にいいスイング、いいバット軌道をしているなと」。実際に技術指導をしたことはないというが、現在の正木のバッティングに太鼓判を押した。
近藤が感じた一番の変化は、技術面よりも精神面だという。「試合に出してもらえるという面で、余裕を持って打席に入れているのが一番じゃないかな。結果を欲しがらず打てているのが大きいんじゃないですかね」
正木は昨季開幕スタメンを勝ち取るも、18打席ノーヒットと極度の不振に陥り、4月中旬には登録抹消となった。その様子を見ていた近藤だからこそ、ここまで打率.341と好調を持続している後輩の姿は見違えて映っているという。
球宴を挟み、6試合連続で6番に座る正木の存在は、その前を打つ近藤にとっても日を重ねるごとに大きくなっているようだ。「もちろん彼自身の調子もいいですし、打ってくれそうな雰囲気もあります。頼もしくなってきたなと。自分もつなぐ場面はつないで、より自分の仕事に集中できる感じはありますね」。
小久保裕紀監督からも「だいぶ1軍での自信にも繋がってきているし、近藤の後ろにも慣れてきている。、鼻息荒くやってもらいたいです」と大きな期待をかけられてる24歳。「チームにとって6番打者が大事なのは分かっている。そこを任されるように頑張るだけです」。有望株の価値ある一打でもぎ取った後半戦初勝利は、今後のチームにとって大きな意味を持ちそうだ。