今宮健太が語る“柳田不在”が与えた影響 7月の失速も「こうなるとわかっていた」

ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】

単独インタビュー「ずるずる行ってしまうのかなっていう形が見えた時もあった」

 ソフトバンクの今宮健太内野手が、鷹フルの単独インタビューに応じた。複数回にわたって掲載していく。第1回は、前半戦を終えたチーム全体について。7月は7勝9敗と負け越しているが「こうなることはわかっていた」という。その要因は、柳田悠岐外野手の不在だった。今のチームを背負うリーダーは“柳田の不在”に何を思うのか?

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 前半戦を首位で折り返した。2位に10ゲームをつけているが小久保裕紀監督も「星勘定はほとんどしないで来ている。7月は全然苦しいんで、そんな感じは実際ないし、7月はまだ借金がある状態だし」と足元を見つめている。87試合を消化して55勝29敗3分けという中で、今宮の個人成績は80試合に出場して打率.259、3本塁打、21打点。選手会長という肩書きを降ろして臨んだシーズンだが「そこに関しては変化はないです」と、自然体で日々を過ごしている。

 内野の要でもある遊撃を託されて、チームリーダーとしてもここまでの戦いを引っ張ってきた。苦しい夏場を乗り越えなければ、秋の歓喜には到達できないことも、何度も経験してきた。7月に入って7勝9敗。今の苦しい状況を、今宮はどのように見つめているのか。

「3月や4月からシーズンが始まって、そして5月6月と本当にいい形でずっと戦ってきた。周りからもダントツで優勝するだろうと、そういうことも言われたりしましたけど。僕らにしてはそんなことはないかなとずっと思っていました。どこかで必ずこういう形(7月のような戦い)が来るのかなと思っていました」

 ファンやメディアからも「歴史的」と表現されるなど、開幕から首位を譲らずに突っ走ってきた。そんな声の一方で「このまま行くはずがない」と、常に危機感を抱いているのが選手たちの本音だ。今宮も「(このまま行くとは)思っていないですね。監督も、チームでも誰1人、そういうことは思っていない」と代弁する。苦しい状況を、自分たちで変えていかなければならない。少し勢いが落ち込んだ今こそ、チームの力が試されると、知っている。

「7月から負け出して、焦りはなかったんですけど、このままずるずる行ってしまうのかなっていう形が見えた時もありましたし、それじゃ去年と一緒。首脳陣の方々がチームを変えるというところでもないと思いますし、いかに選手がゲームの中で、いい雰囲気の中でやっていくことが大事になると思います」

 勝敗の責任を背負うのは首脳陣だが、グラウンドに立って戦うのは選手だ。今宮も「この状況って、本当に打破するのは選手なんです。この状況を打破しない限りは、目指しているリーグ優勝はできない」と言い聞かせる。7月の失速の中で小久保監督は「自分が今何をするべきかというのを、やるしかない」と、自分自身の役割にもう1度フォーカスするべきだと語っていた。指揮官も常に「主力の選手」に期待を込めてきたシーズン。苦しい夏場こそ、今宮を含めた経験豊富なリーダーたちがチームを引っ張っていきたい。

「若い選手にそういうところをやれというのは難しいです。若い選手は目の前の1試合、目の前の1球を頑張ってもらいながら。僕であったり、晃(中村)さんであったり、拓也(甲斐)もそうですし。そういうところで、この状況を変えていかないといけないと思っています。この7月の感じというのは、一気に打破していかないといけないですね」

ソフトバンク・今宮健太を迎える柳田悠岐(右)【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・今宮健太を迎える柳田悠岐(右)【写真:荒川祐史】

 5月31日の広島戦(みずほPayPayドーム)で柳田が離脱した。「右半腱様筋損傷」と診断されて、競技復帰までは4か月を要する見込み。小久保監督も「今年は無理だと思う」と柳田の復帰は、チームの戦いをマネジメントする上で計算に入れていない様子だった。大黒柱を欠いて、2か月が経とうとしている。改めてギータの不在を、今宮はどのように感じているのか。

「チームがいい形で勝っていたからこそ、まだあれでしたけど。やっぱりこういう状況になって、ギーさんがいないというのは、感じていますし、こうなる(苦しい時期を迎えること)ことはわかっていました」

 柳田がいないことで、チームに“立て直し”が必要な時期が来るとは予想していた。今は正木智也外野手や柳町達外野手らが奮闘し、一戦必勝で白星を拾っている。空いてしまった大きな穴を、チーム全員が埋めるために成長しようとしているところだ。

 中村晃がベンチスタートとなれば、グラウンドに立つ最年長は今宮と山川穂高内野手という試合がほとんど。今宮も「穂高は入ってきて1年目。もちろん穂高が打って、ホームランを打って勝つのがベストかもしれないですけど、外から来ていろんなプレッシャーがある中で戦っている。そんなところまで考えられないと思います」と語る。柳田がいない今、言葉と存在感で自分が中心になっていなければならない。

「自分でもその余裕は正直ないですけどね」と謙遜するが、4年ぶりの優勝を誰よりも欲している。26日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)から後半戦が始まる。残り56試合。今宮健太の背中を、ファンと後輩たちが見つめている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)