2位ロッテとは10ゲーム差で前半戦終えるも「気を引き締めてやるだけ」
決めるべき男たちがきっちりと仕事を果たし、前半戦を最高の形で締めくくった。21日の西武戦(ベルーナドーム)は両チーム無得点で9回を迎えた。ホークスは先頭の周東佑京内野手が中前打で出塁すると、2死二塁となって打席には栗原陵矢内野手が入った。1点勝負とあって西武外野陣が極端な前進守備を敷く中で打球が左中間に落ちると、周東は悠々ホームイン。この一打が決勝打となった。
「自分らしくない方向の打球でしたけど、良かったです」。栗原自身は13日の日本ハム戦から17日のロッテ戦まで5試合で無安打。今季最長の24打席ノーヒットと快音がぱったりと止まっていた。「いろいろやりました。苦しかったですね」と振り返りつつ、前半戦ラストゲームでの3安打に「ここから上がっていければいい」と安堵の表情を浮かべた。
チームの大黒柱、柳田悠岐外野手が長期離脱したのを受け、中心選手としての自覚を新たにしたのがこの2人だった。「僕とクリで頑張っていかないといけない」と周東が話すと、栗原も「自分と佑京さんで頑張ります」と応じた。4年ぶりリーグ優勝のカギを握る存在なのは間違いない。
「(9回の場面は)クリと勝負しない可能性もあったので。クリでもいいし、山川(穂高)さんでもいいし、誰かが打ってくれと。外野も前に来ていたので、正面はやめてと。(中堅の)左右どちらかに打ってくれないかなーと願ってました」
周東の願いが通じたかのような栗原のタイムリー。ホームベース上でのクロスプレーになることなく、決勝のホームを踏んだ。試合後はともに充実感あふれた表情でハイタッチ。チームをけん引するコンビの活躍が白星をもたらした。
2位ロッテに10ゲーム差をつけて向かう後半戦だが、2人に気の緩みはもちろんない。「全体的に見たら、まだまだできたというか。改善するべき部分は多いので。反省しなくちゃいけないところも見えてきた」と周東。栗原も「もっともっとやれると思いますし、もっともっとやらないといけないなと思います」と前を見据える。
今季から選手会長も務める周東は、個の力ではなく全員のパワーが必要だと強調する。「若い選手も多いので。クリと2人で引っ張るというよりも、チーム全体でやっていければいい。全員で固まって勝ちにいくことが大事かなと思います」。
試合後、小久保監督は「基本的にはサード1本、栗原で行こうと決めてやっているんで。しっかりチームの軸として、中心選手として最後までゴールしてほしいですね」と厚い信頼を口にした。周東は球場を後にする際、膝にアイシングを施すなど万全とは言い難い状態が続く。それでも全てはチームの勝利のために。歓喜の秋を迎えるまで、歩みを止めるつもりはない。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)