柳田悠岐の「代わりは正直無理」 中村晃と今宮健太の“本音”…ギータ離脱に語った全て

ソフトバンク・今宮健太(左)と中村晃【写真:竹村岳】
ソフトバンク・今宮健太(左)と中村晃【写真:竹村岳】

広島戦に勝利した後に球団発表…柳田は「右半腱様筋損傷」で2日からリハビリ組へ

 チームリーダーたちは、何を思うのか。ソフトバンクは1日、広島戦(みずほPayPayドーム)に2-0で勝利した。試合後、柳田悠岐外野手が佐賀市内の病院でMRI検査を受け「右半腱様筋損傷」と診断されたと、球団が発表した。全治はおよそ4か月となる見込みで、2日からはリハビリ組に合流する。大黒柱の大きすぎる離脱に中村晃外野手、今宮健太内野手が胸中を語った。

 柳田は5月31日の同戦、二ゴロを放った際に右ハムストリングを痛めた。一塁にヘッドスライディングしたのも「もう走れなかったので」と、倒れ込むような形。自力で歩行してドームを後にしたが、感覚を問われても「全然わからないです」と語るしかなかった。今季48試合に出場して打率.293、4本塁打、35打点。存在以上に“チームの顔”が抜けたのだから、与える影響は計り知れない。

 一夜が明けて、病院で受診。正式な診断結果が出た。柳田を欠いて、苦しい夏場を乗り越えなければならない。柳田に次ぐ野手の年長者、中村晃は何を思うのか。

「仕方ないですし、いるメンバーでやるしかないです」

ベンチに下がる柳田悠岐を見守るソフトバンクナイン【写真:竹村岳】
ベンチに下がる柳田悠岐を見守るソフトバンクナイン【写真:竹村岳】

 柳田がベンチまで帰ってきた時、中村晃も立ち上がり、心配そうに見つめていた。「痛かったと思います」。1歳年上の柳田とは、2013年から頭角を表し、ともにチームを引っ張ってきた。“柳田がいる”という大きさを、誰よりも身近で感じてきた1人だ。「いるに越したことはないですけど、仕方のないことなので。いるメンバーでやるしかない」と繰り返した。

 今宮はどうだろうか。中村晃と同じく、柳田がいるだけでチームに与える影響があると語る。

「存在はデカいっすね。チームのことで何かを発するってことはそこまで多くはないですけど、存在はすごく大きい部分はありますし、チームが和むっていのもあるし、いろいろな力を持っている人なんで。すごい人です」

 小久保裕紀監督は試合前に選手を集め「柳田の穴を埋めようというのは考えなくていい」と選手に伝えた。今宮も「なかなかね、自分が柳田さんの代わりっていうのは正直無理なので。チームとして自分たちができることっていうのを一生懸命やることが勝ちにつながるのは間違いない」と足元を見つめる。いないことを受け入れて、チーム全員で戦っていくしかない。

「いないのはしょうがないというか、どうにもならないことなので。チームとしてやっていけることは全力でやっていくしかないので。ギーさんが戻ってくるまではチームとしていい形でやっていけたらなと」

 今宮は今季、2番打者として38試合に出場。柳田は全試合で3番だったのだから、チームの中でもっとも“柳田の前”を打ってきた。「ギーさん居なくなったっていうのはものすごく大きいんですけど、自分がやることは変わらない」とした上で「今日はクリが3番入りましたけど、クリの状態も悪くないですし、打点が取れる選手なので、しっかり回していきたい」とうなずく。3番の後ろには山川穂高内野手と近藤健介外野手が控えている。繋いで、チーム全員で点を奪うことは変わらない。

 この日、中村晃は「6番・一塁」でスタメンを託されたが、2打数無安打。首脳陣は絶大な信頼を寄せているが、今季は38試合に出場して打率.188、0本塁打の成績で「まずは自分の成績をしっかり出さないと。それをしっかりできるように頑張ります」と自分に矢印を向けた。柳田が間に合い、チームに帰ってきた時、必ずチームはいい位置にいなければならない。中村晃の「それだけじゃないですか」という言葉が、チームの思いを代弁していた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)