97球のうち、25.8%しかなかった真っ直ぐの割合
貫禄すら漂うピッチングだった。ソフトバンクの大津亮介投手は14日、敵地ベルーナドームで行われた西武戦に先発し、7回4安打1失点の好投で、自身2連勝を飾った。序盤から相手打線を翻弄し、失点はアギラーに浴びたソロの1点のみ。「思うようにできたので、そこは良かったかな、と思います」。大津自身も納得の投球だった。
「バッターごとに海野さんのイメージと僕のイメージをいろいろ話し合って(プランを)決めていました」。初回、外崎、源田、佐藤龍を3人で切って取ると、2回も3者凡退に封じた。チェンジアップを中心に変化球を有効に使い、危なげのない投球を展開。7回にソロを浴びたが、自己最長の7回を投げ切った。
今季から先発に転向した大津はこれで2戦2勝。「アイツのためにもう1イニング行かせようということで。彼の野球人生に関して、しっかりローテの軸で回れるようなピッチャーになってもらいたいんで」と7回もマウンドに上げた小久保裕紀監督は「ナイスピッチングよね。1失点、十分です」と賛辞を惜しまなかった。
変幻自在のピッチングで相手を惑わせている。「チェンジアップでカウントを取れたり、空振りも取れていたので、いいようにバッターが分からなくなってきたかなっていう感じで良かったです」。投球の軸になったのは最も自信を持っている120キロ台のチェンジアップ。真っ直ぐとの奥行きを存分に使い、西武打線はタイミングを合わせるのに苦労していた。
昨季の中継ぎから先発になり、その投球内容にも変化が見て取れる。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを参照すると、この日投じた97球のうち、真っ直ぐの割合はわずか25.8%しかなかった。一方で、チェンジアップを真っ直ぐよりも多い28.9%も使い、そのほかの球種もスライダーが16.5%、カットボールが12.4%、カーブが6.2%、ワンシームが10.3%と満遍なく投げ分けていることが分かる。
中継ぎだった昨季は真っ直ぐが全体の49.7%を占めた。スライダー、カットボール、カーブの割合はさほど変わらないが、チェンジアップの割合が4.3%から急激にアップ。1イニングに全力を注ぐ中継ぎと長いイニングを投げる先発ではスタイルは変わるもの。「真っ直ぐで前半は突っ込めるところまで突っ込んで、後半は(変化球で)逃げるっていうイメージで投げています」と大津は語る。
課題とされたスタミナ面も問題はなさそうだ。この日は97球で自己最長の7回を投げ「疲れはなかったんですけど、もう少しやっぱ球数減らしていきたいなと思っています」と笑顔を見せた。小久保監督からもベンチで「今日はバテたか?」と問いかけられ「今日はバテなかったです」と答えた。2試合連続で1失点。防御率は1.38になった。首位を走るホークス。頼もしい先発陣の中でも、大津の存在感が光り始めている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)