5安打6出塁に「ビックリしかない」 人生初の大暴れ…周東佑京に何が起きていた?

西武戦でヒットを放つソフトバンク・周東佑京【写真:小池義弘】
西武戦でヒットを放つソフトバンク・周東佑京【写真:小池義弘】

ヒット量産の理由は「スイングどうのこうのじゃなくて」

 快音を響かせ続けた。13日に敵地ベルーナドームで行われた西武戦。11-2で大勝した一戦に「1番・中堅」で出場した周東佑京内野手は、5打数5安打6出塁の大暴れ。2つの盗塁を決め、4度ホームに生還。「ビックリです。ビックリしかないです。(5安打は)人生でもないですし、6出塁もないです」。本人でさえ驚く1日になった。

 初回、先頭でいきなり西武先発の隅田から中前へとポトリと落ちる安打を放って出塁。1死となり、柳田悠岐外野手の打席で盗塁を決めると、柳田の左翼線への適時二塁打で先制のホームを踏んだ。3回の第2打席でも右前へ。早々とマルチ安打を記録すると、今宮の打席でこの日2つ目となる二盗も決めた。

 5回の先頭打者としても二塁内野安打で出塁すると、近藤健介外野手の2点適時打で生還。6回には四球、8回には左前安打で塁に出て、山川穂高内野手の2打席連続本塁打でホームを踏んだ。9回にも左前安打を放ち、驚異の5打数5安打で前日から打率は6分6厘も急上昇し、リーグトップの打率.385に。2盗塁、4得点を加えて盗塁数、得点数、そして安打数もリーグトップだ。

 なぜ、これほどまでに打ちまくることができたのか。試合後、周東は「タイミングが良かったのかな、と思います。スイングどうのこうのじゃなくて、全部タイミングよく入れたのかなと思います。2本出て、3本出て、すごく余裕が出たので、流れに身を任せて、じゃないですけど、いい結果が出たのかなと思います」と振り返った。

 昨季終盤に打撃面で手応えを掴んだ周東。今季も昨季の流れを継続。春季キャンプ序盤で一度、取りやめた取り組みを再び取り入れると、これが「ハマった」という。打撃は、形が固まれば、大事なのは“タイミング”だと言われる。この日の周東は、まさにこのタイミングが抜群に合っていたというわけだ。

 リードオフマンが元気だと、打線も勢いづくというもの。小久保裕紀監督は「もちろんです。あれだけ1、2番の状態がいいんで、1、2番が出て3、4、5番が返したら勝てるし、返せなかったらっていう、そういう野球なんで。そりゃ出てくれると野球になりますね」と目を細める。開幕2戦目から12試合連続出塁。開幕3戦目から11試合連続得点をマークしている。

「ここ何試合かホームに返してもらってるんで、塁に出られれば、何とか得点に繋げられるっていうのは続いているので、打つ打たないよりも、どうにかして塁に出たいなと思っています」。2番を打つ今宮も打率3割を超えて好調。柳田、山川、近藤と続く中軸の前にチャンスを作っている。山川に至ってはこの日、3打席目、4打席目、5打席目と3打席連続で満塁で打席が回ってきていた。

 1本目の満塁弾のあとには、山川の後ろで「どすこい」ポーズをマネした。大ブーイングが巻き起こった12日、そして一転静寂だったこの日と選手たちは異様な雰囲気の中で戦ったものの、周東は「そんなに選手は意識してやっていないです。山川さんはどうしても意識しておると思いますけど、周りの選手はそんなに意識することなく普通にプレーしようと思っています」と冷静だった。

「今のところはいいものが出ていると思うんで、今は続けていきたいなと思っています」。頼もしきリードオフマン。ホークスの攻撃を周東佑京が牽引している。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)