得点圏で4打席凡退「1本打っていたら…」 背負い込む責任…山川穂高に生じる“狂い”

ソフトバンク・山川穂高【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・山川穂高【写真:荒川祐史】

9日の日本ハム戦で4打席全てで得点圏に走者を置き、4タコ1併殺打

 熊本の夜空をファンのため息が覆った。ソフトバンクは9日、熊本のリブワーク藤崎台球場で日本ハムと対戦し、2-4で敗れた。相手を上回る10安打を放ちながらも、この日も打線が繋がらずに近藤健介外野手の2ランで奪った2点のみ。特にブレーキになったのが4打席全て得点圏に走者を置きながら、4タコ1併殺打に終わった4番の山川穂高内野手だった。

 初回に先発の有原航平投手がいきなり4点を献上。その裏、今宮健太内野手が四球で出塁、周東佑京内野手が中前安打で続いた。柳田悠岐外野手の一ゴロで走者はそれぞれ進塁。1死二、三塁で山川が打席に入った。だが、4番は1ボールからの2球目、カットボールを打ち上げて遊飛。3回2死二塁での第2打席も一ゴロに倒れた。

 さらに5回、今宮の二塁打、周東の右前打、柳田の死球で無死満塁のチャンスを作った。だが、山川は3球目のスライダーを引っ掛けて、最悪の三ゴロ併殺打。二塁走者、三塁走者が刺されて、2死一、二塁とチャンスは縮小してしまった。7回2死二、三塁では金村の外角ボールゾーンへ逃げるスライダーにバットが空を切り、空振り三振。再三の好機でことごとく凡退した。

「全部チャンスで回ってきて、僕が1本、2本打てたらっていうのは、もちろん感じています」。帰りのバスに乗り込む際に山川はこう責任を背負い込んだ。今シーズンの10試合目を終えて、38打数6安打、打率.158と波に乗り切れていないのは確か。ここまで42打席のうち、走者がいなかった打席は17しかない。走者を置いた打席は25。うち得点圏に走者がいたのは15打席もあり、放った安打は2本。前を打つ今宮や柳田が好調で、チャンスで打席に回ってくる回数が多いだけに、それを潰している印象も強くなる。

 約1年のブランクを経て、今シーズンに臨んでいる山川。この日の4打席について「打ってる球は自分的にもいけると思って振っているので、そこに関しては間違いではないと思います。ただ、自分が思っているより力が入っているなっていうのは打ちながら感じている。でも、それは入っちゃうものですし、リラックスしていこうとか、ただそれだけの問題でもないので」と打ち明ける。

 ただ、そこは3度の本塁打王を獲得した実力者。「初めてのことではもちろんないですし、打てなかったことの方が多い。それも乗り越えてきたり、なかなか切り開けなかったりと、いろんな経験はしていますので、そこでも後手に回らずに、やっていくのが今までの経験上、良かったので。ちょっと苦しいですけど、そこはしっかり越えていきたいです」。打撃の状態に浮き沈みは付きもの。いい時もあれば、悪い時もあるのが当たり前で、これまでもそれを繰り返してきた。

 その度に考え、試行錯誤し、練習して壁を乗り越えてきた。その経験があるからこそ、決して慌てる様子はない。それは小久保裕紀監督も同様。「4番はどうしてもそうなる。自分で切り抜けるしかない」と揺るぎない信頼を口にする。開幕して10試合を消化したばかり。ここまでの3カードは全て勝ち越し。6勝4敗とリーグ首位タイにおり、山川の4番起用の継続を問われても「まだ(対戦が)1回りもしてないからね」と淡々としたものだった。

「ああしておけばよかった、こうしておけばよかったっていうのはもちろん出るんですけど、準備のやり方とか、心の持って行き方も含めて、また明日考えて、明後日からいいバッティングができるようにやっていこうと思っています」と前を向いた山川。まだ10試合、されど10試合。山川の打棒復活をホークスファンは待っている。

(鷹フル編集部)