ずっとホークスにいたい。その気持ちを、独占激白した。ソフトバンクは3月28日に、リバン・モイネロ投手と新たに4年契約を結んだことを発表した。モイネロ自身も球団を通じてコメントを発表したが、6回無安打無失点と好投した6日の楽天戦(楽天モバイルパーク)を前に、初めて自身の口で契約について語った。明かしたのは、7年間を過ごしているホークスへの愛着だった。
「ホークスに7年在籍していて、これからもホークスで野球がしたいという意思があったので、延長できて素直に嬉しいですし、心から感謝しています。ホークスは常に上を目指す向上心が高いチーム。そのチームにこれからも必要とされているということは、とても光栄なことですし、もっと頑張らないといけません」
2024年は、3年契約の最終年となる。オフではなく、2024年シーズンの開幕前に身を固めた。これだけの大きな才能は当然、メジャーからの注目も集めていた。現役選手では、キューバで「一番いいピッチャー」と呼ばれる左腕。鷹フルの単独取材にモイネロは「4年もホークスにいられることはすごく嬉しいです。自分を評価してくれたことを嬉しく思います」と頷いて語る。ホークスで野球をやりたいと思った要因は、どんな部分にあったのか。
「チーム全体のことも知っていますし、7年間いるのでチームメートとも仲良くしています。慣れていると言ったらあれですけど、7年間の経験があるので。そういうところだと思いますね」
2023年シーズンが終わり、球団との話し合いも本格化していったという。2025年からの4年間とは、モイネロにとっては30歳から33歳のシーズンをホークスで過ごすことになった。選手としての“脂”が乗ってくる時期についても「自分の年齢とかそういうところは考えていなくて、チームがそういうチャンスをくれたので。7年間っていうのは自分の中でいいんじゃないかと思って契約を更新しました。年齢とかそういうところは考えてないです」と強調する。
7年という歳月を福岡で過ごした。選手としてもキャリアアップや、さらなる“欲”が生まれてくる時期でもあるが、モイネロは「移籍」という選択肢について問われても、首を横に振った。口にしたのは、ホークスへの“愛着”そのものだった。
「普通と言ったらあれですけど、みんなが思っているようなチームですよ。いいチームだと思います。日本のキャリアはここで始まった。7年間という期間もありましたし、始まったところで終わるじゃないですけど、今の自分にとってはいいオプションだと思って、この契約をしました」
昨年7月に「鏡視下左肘関節形成術」で、左肘にメスを入れた。シーズンの後半を棒に振ることになった中で、4年という大型の契約を球団は提示してくれた。「特に今回は自分が怪我をした後だったので、そういう意味でも評価していただいたのはありがたかったです」と言う。怪我については「あったものを取るだけというもの。靭帯を切るとかそういうものではなかったので、心配はなかったです」とはいうが、早期から身を固めたことで生まれる安心感は、プレーにも好影響を与えるだろう。
4年という大型契約について、鷹フルは三笠杉彦GMにも単独で取材した。「長年貢献してくれている投手」と、モイネロの7年間へのリスペクトを語る。現在取り組んでいる先発への転向も、球団は高く評価していた。
「先発投手としてのチャレンジをしてくれることも、球団としては頼もしいです。もともと先発投手としての適性もあると思っていたので、彼のキャリア的にも先発で、この前みたいな(3月30日のオリックス戦、8回2失点)ピッチングをしてくれたら。彼ももっとやれると思うし、チームにとってもプラスなことだと思います」
1月に球団は、カーター・スチュワート・ジュニア投手と2025年から新たに2年契約を結んだことを発表した。モイネロも2024年シーズンが開幕する前に、契約については決着がついた形。オフになってからではなく、早々にアプローチすることに三笠GMも「いろんなケースがありますから。僕らとしてはそういう評価をして、ぜひ残ってもらいたいと思った」と語る。4年契約を結んでいるロベルト・オスナ投手も含めて、外国人選手が持つ能力はもちろん、契約内容を持ってして球団の誠意を伝えてきた。
今季初登板で8回2失点だったモイネロは、この日も6回を投げて無安打無失点。味方の援護に恵まれず、まだ白星こそついていないものの、先発として十分過ぎる働きを見せている。
選手にはよくイタズラをするモイネロ。選手会長の周東佑京内野手も「クソガキですよ、クソガキ」とその人柄を表現していた。キューバから海を渡って7年目。チームメートの存在にも「7年いるので、みんなともいい関係を築けているかなと自分でも思います」と語った。いつまでも“モイネロの攻撃”が続くことを、ホークスファンも願っている。