ノリで決まったオールドスタイル 靴下を貸し借り…「似合わない」と笑われた選手は誰?

選手全員がオールドスタイルで登場【写真:竹村岳】
選手全員がオールドスタイルで登場【写真:竹村岳】

試合前のセカンドアップから全員がオールドスタイルに…舞台裏を単独取材

 きっかけは意外にも「似合わない」という“不評の声”だった。高校球児のように気持ちも姿も統一して、戦う日となった。ソフトバンクは17日、西武とのオープン戦(PayPayドーム)を戦い、9-3で勝利した。試合前のセカンドアップ、野手の全員が裾を上げてオールドスタイルで登場。なぜこんなにも珍しい光景が生まれたのか?

 13時からプレーボールとなったこの一戦。試合前の練習時は、それぞれが思うような着こなしをしていた。緒方理貢外野手は「試合前、ミーティング会場に行ったらみんながそうだったので。自分もやりました」と一部を明かす。どうやら練習を終えて、セカンドアップまでの時間で選手の思いは統一されたようだ。きっかけとなったのは、甲斐拓也捕手だった。

「僕が今日オールドスタイルで行こうと思ったら、みんなから笑われて(笑)。そしたら、ああなりました。普通に柳田さんと『ギーさん、めっちゃかっこいい』っていう話もしながら。(他の選手がオールドスタイルにした)理由はわからないですけど、僕はそれで行こうと思っていただけなんですけど、みんなから『甲斐さん絶対似合わないです』から始まって、そんな感じになったんじゃないですか」

 他の選手への影響などを考慮したわけでもなく、甲斐自身がやりたくてやってみた。最初は後輩から「似合わない」と笑われたが、すぐに全員でやってみようという気持ちに変わるのもホークスらしかった。西田哲朗広報が、補足するように説明をする。

「甲斐選手がやろうって言い出して『じゃあ俺もやる』『俺もやる』って広がっていきました。ロッカーが2つあるんですけど、ロッカー違う選手が慌ててミーティング後にオールドスタイルに頑張ってしていました。ギーさんには『1番打者っぽくていいですね』って話をして。『それで両耳のヘルメットなら一番いいんですけどね』とか言いながら笑っていました。確かに、似合っている選手と似合っていない選手はいましたね(笑)」

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:竹村岳】
ソフトバンク・甲斐拓也【写真:竹村岳】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】

 選手たちの様子を見守っていた1人が、加藤和子広報課長。雰囲気の一部を代弁する。

「甲斐さんと近ちゃん(近藤健介)のやり取りがかわいかったですね。どっちが似合ってるか、どっちの方がおかしいか張り合っていたのが面白かったです。『いや、甲斐さんの方が』『近ちゃんの方が』っていう会話をして、それを見て周りも笑っていました」

 柳田悠岐外野手が試合中に着用していた靴下には「7」と書かれていた。中村晃外野手から借りたそうで「持っていなかったので。(みんなでオールドスタイルにしたのは)ノリでしょう。気分転換になりました」と笑顔で語る。貸した側の中村晃も「支給されているものを自分が何個か持っていたので、貸してあげました」という。自身は定期的にオールドスタイルにするだけに「僕はいつも通りでしたね」と、微笑みながら振り返っていた。

 選手会長の周東佑京内野手いわく、甲斐に続いてオールドスタイルにし始めたのが近藤だったそう。周東は「ノリと勢いで全員でやろうかってなりました。(拓也さんは)似合っていなかったので、それは認めてほしいですね」とニッコリ。急遽決まった全員のオールドスタイル。柳田以外にも「(靴下を)持っていない人もいましたよ」と貸し借りをしていた人はいたそうだ。

 9回に登板した又吉克樹投手も、裾をあげてマウンドへ。2安打を浴びたものの、きっちりと無失点に抑えて試合を締め括っていた。選手会長である周東の「楽しかったからいいのかなと思いますよ」という言葉から、改めてホークスの一体感が伝わってきた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)