2度目の契約交渉は500万円アップの年俸3400万円でサイン
ソフトバンクの柳町達外野手が21日、本拠地PayPayドーム内の球団事務所で2度目の契約更改交渉に臨んだ。1度目の交渉ではサインは保留。2度目となった今回の交渉で、今季から500万円増の年俸3400万円(金額は推定)でサインした。2度の交渉の席で球団に訴えたのは、仮眠室の設置と、規定打席に達しない選手の査定基準の見直しだった。
仮眠室の設置は選手たちの休養の重要性を訴えたもの。前日20日には東浜巨投手からも睡眠の重要性が球団に要望されており、柳町は「よく試合前に仮眠したりする。ロッカーで今まで寝てたので、設備があったらいいなと思って」。少しでも良いパフォーマンスを発揮するために、ロッカーで仮眠を取るのではなく仮眠室でしっかりと休息を取りたいからこその要望だった。
もう1つが”規定打席に達しない選手の査定”に関することだった。今季の柳町は、キャリアハイとなる116試合に出場。チーム6番目の出場数だったが、規定打席には手が届かなかった。“準レギュラー”的な立ち位置で、常時、試合に出られるわけではなかった柳町らのような選手にとっては重要なポイントだった。
柳町は今季、主に右投手が先発の時にはスタメンとして起用され、左投手が先発の場合はベンチからスタートすることが多かった。試合途中で代走を送られたり、守備固めを送られて交代したりする場面もあった。116試合で立った打席数は375。規定打席の443打席には68打席足らなかった。チームで3番目の出塁率.375をマークするも、評価は伸びなかった。
「規定打席に到達しないとなかなか……。比重が大きいんで、そういうところの評価があると嬉しい」と柳町は語る。査定システムは、どうしても規定打席到達者に対する評価が高くなるようにできている。柳町のように状況によって起用法が変わった選手や、ユーティリティプレーヤーが多いことはチームにとってプラスではあるが、そうした査定システムでは評価に貢献が反映されにくくなる。柳町が訴えたかったのはその部分だろう。
プロ野球の世界は近年、野手も役割が分業化されたり、選手のコンディションを考慮して休養を与えたりと、起用の仕方に変化が生まれている。1人の選手が143試合フルに出続けることも減ってきており、規定打席に到達するのも難しくなりつつある。
編成トップの三笠杉彦取締役GMは「チーム状況にもよりますけど、固定のレギュラーが全試合フルイニングというよりかは、状態であったり怪我の状況を見極めて複数の選手で戦っていく状況になってきていますので、そういう環境の変化の中で評価の方法を変えていくか、どこにバーを置いて評価をしていくかは考えなきゃいけないことだと思っています」と受け止めている。
柳町にとって来季はレギュラーを確立する勝負の1年となる。外野手は近藤健介外野手、柳田悠岐外野手の中心2人に加え、周東佑京内野手やトレードで加入したアダム・ウォーカー外野手らもおり、競争は激しい。レギュラー争いを勝ち抜き、誰もが納得する規定打席到達が実現できれば、その貢献は大きく評価されることになるだろう。
(飯田航平 / Kohei Iida)